運営:行政書士平田総合法務事務所/不動産法務総研
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遺言執行費用とは、遺言内容を実現するために直接必要となる費用をいいます。
主なものとして、次のような費用があります。
(1)相続財産の管理費用
(2)遺言書の検認手続費用
(3)財産目録の作成・交付費用
(4)相続人等への通知費用
(5)不動産登記費用(※例外あり)
(6)遺言執行に関連して訴訟に要した費用
(7)遺言執行者の報酬
民法第1021条は、「遺言の執行に関する費用は、相続財産の負担とする」と定めています。
そのため、
遺言執行者は、これらの費用を原則として相続財産から直接支出することができます。
不動産登記費用については、遺言の類型や適用される法律によって取扱いが異なります。
(1)特定遺贈・包括遺贈の場合
特定遺贈又は包括遺贈によって不動産が移転する場合の登記費用については、
一般的に、特定遺贈・包括遺贈のいずれであっても、
受遺者(財産を受け取る人)の負担と解されています。
したがって、登録免許税や司法書士報酬は、原則として相続財産の負担ではなく、
受遺者の自己負担となります。
もっとも、遺言書に、
「受遺者〇〇に対する遺贈に基づく一切の移転登記費用(登録免許税及び司法書士報酬)は、
相続財産から支出するものとする。」
などの別段の定めがある場合には、その意思表示が優先されます。
この場合には、受遺者が自己負担することなく、
相続財産(預貯金等)から登記費用を支出して手続きを進めることが可能です。
(2)特定財産承継遺言の場合
令和元年(2019年)7月1日の改正民法施行により、
特定財産承継遺言(「相続させる旨の遺言」)における遺言執行者の登記権限は
大きく変化しました。
これに伴い、
①誰が登記申請を行うことができるのか(権限)
②誰が登記費用を負担するのか(費用負担)
についても取扱いが変わっています。
なお、この適用関係は、
相続開始日ではなく、遺言書の作成日(遺言の成立日)を基準として判断されます。
①令和元年6月30日以前に作成された遺言書(改正前)
ア 登記申請権限
受益相続人のみに登記申請権限があり、遺言執行者には登記申請権限はありません。
従来の「相続させる旨の遺言」については、
遺言者の死亡と同時に対象不動産が当然に受益相続人へ承継されると解されていたため、
受益相続人が単独で相続登記を申請すれば足りるとされていました。
そのため、遺言執行者には登記申請についての権利も義務もないと考えられていました。
イ 登記費用の負担
登記費用は、受益相続人(不動産を取得した相続人)の自己負担となります。
遺言執行者が登記申請を行う権限を有していない以上、
その費用は遺言執行費用(民法第1021条)には該当しません。
あくまでも、権利を取得した相続人が自己の利益のために行う手続であるため、
相続財産から支出することはできないと解されています。
②令和元年7月1日以降に作成された遺言書(改正後)
ア 登記申請権限
遺言執行者にも単独での登記申請権限が認められています。
また、受益相続人も従来どおり単独で登記申請を行うことができます。
改正後は、遺言執行者が、特定財産承継遺言の対象となった不動産について、共同相続人が対抗要件(登記)を備えるために必要な行為を単独で行うことができる旨が明文化されました。
そのため、遺言執行者自らが申請人となって相続登記を行うことが可能となっています。
イ 登記費用の負担
登記費用は、相続財産の負担となる遺言執行費用に該当すると解されています。
法改正により、登記申請が遺言執行者の正式な職務として位置付けられたため、
それに伴う登録免許税や司法書士報酬についても、遺言執行に必要な費用として民法第1021条の適用対象になると考えられています。
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