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遺言執行の基礎知識

遺言をする目的の本質は、
遺言書という文書を遺すことではなく、自分の死後に遺言内容を速やかに実現することです。

しかし、遺言書があるにもかかわらず、相続人らで遺言内容を実行しようとしても、遺言内容に不満を持つ一部の相続人が非協力的であるなどの事情によって、

遺言者の最終意思である遺言内容を、実現することができない場合があります。

そのようなことが起こらないように、遺言内容を実現するために行動を起こしてくれる「遺言執行者」を決めておくことは、相続対策上、とても重要になります。

<目 次>

遺言執行者とは

遺言の効力は、遺言者が死亡したときから発生しますが、
効力が発生した後は、遺言内容を実現させる段階となります。
 
しかし、当然ながら、遺言者はすでに亡くなっていますので、遺言に書かれた遺言者の想いを遺言者に代わって、
「遺言執行」という形で実現する人が必要になります。
 
この遺言を執行する人は、
「遺言執行者」として指定することができ、遺言執行者には、民法上遺言執行に関する権限が以下の通り与えられています。
 
「遺言執行者は、遺言の内容を実現する為、相続財産の管理その他遺言の執行に
  必要な一切の行為をする権利義務を有する」
(民1012①)
 
・「遺言執行者がその権限内において、遺言執行者であることを示してした行為の
  効果は、相続人に対して直接にその効果を生ずる」
(民1015)
 
これらの条文は、令和元年7月1日施行の民法改正により、遺言執行者の権限が明確化されものですが、
そうはいっても、遺言執行者は必ずしも定めなければならないものではありません。

遺言執行者を定めなくても遺言は有効なので、自分で作ると、つい抜け落ちて作成してしまいます。

ただ、「子の認知」や「推定相続人の廃除・取消し」、「一般財団法人の設立」など、遺言執行者を
指定しなければ、せっかく遺言書を遺しても実現することが出来ない手続きもあります。
 
中には、事前に相続人のうちの1人を遺言執行人に指名する場合もありますが、
遺言執行業務は、遺贈や遺産分配などで不動産登記申請を行ったり、
遺言者の相続財産をすべて把握して遺言が示す内容に従って遺産を引き渡すなど、多岐に渡ります。

また、遺言執行の過程で、利害関係のある一部の相続人により遺言書の適正な実現がなされず、
遺言書があるのに紛争になる恐れがあり、相続人が普通の生活をしながら遺言執行業務をすることは、
複雑で負担が大きいことも実情です。
 
そんな一部の相続人への負担偏りを考慮して、最近では、専門家(弁護士、行政書士等)を遺言執行者に指定するケースも増えています。

専門家が遺言執行者に就任すると、業務ということもあり、粛々と手続きが進むことになります。

何より、遺言書の適正な実現や相続人間の無用な紛争を防止できるというメリットがあります。

遺言執行者の存在意義

こと細かく遺言書が作成されても、
誰かがその内容を実現するために行動を起こさなければ、
遺言者の想いは現実とならず、
遺言書はただの紙切れになってしまいます。


遺言を実行する人(遺言執行者)がいないと困るケースと
して、次のようなものがあります。

●遺言書が誰にも発見されない(=遺言内容が実現されない)

●相続人の1人が遺言書を見つけたが、自分に不利な内容だったので、誰にも見せなかった

●相続人の一部の人の仕事が忙しいため、相続手続きで役所や銀行に行けない

●相続人の一部の人が海外に住んでいるため、相続手続きで役所や銀行に行けない

●遺産内容の整理等、相続手続きの全体の指揮を執る人がいない

●相続人同士の仲が悪い

●遺言内容を実現することを妨害する相続人がいる

これらはすべて、遺言内容の実現の妨げとなりますが、
法律的により強い権限が明確化された遺言執行者がいることで、遺言者の最後の意思を推し進めることができることが、遺言執行者の存在意義であるといえます。

遺言執行者の職務

遺言執行者の職務は、具体的には以下のようなものがあります。

(1)職務内容

   ①遺言書の確認

   ②戸籍の取寄せ、相続人の確定

   ③就任又は辞退の通知

   ④遺言内容の通知

   ⑤遺産目録の作成、交付

   ⑥遺言内容に従った遺産の具体的な分配

   ⑦職務終了の通知

(2)遺言執行者と相続人の関係

  ・委任契約における委任者(相続人)と受任者(遺言執行者)の関係と同じになります。
   具体的には次のようなものです。(民1012③)

   ①遺言執行者として通常期待される水準の能力を発揮し、誠実に職務を行う義務
    (善管注意義務)

   ②相続人からの求めに応じて、いつでも職務の状況を報告する義務

   ③職務終了後、遅滞なく、その経過及び結果を報告する義務

   ④職務遂行に当たり、得た金品や債券がある場合には、遺言書の内容に従って相続人に
    引き渡す義務

   ⑤職務遂行に当たり、支出した実費がある場合には、相続人に請求することができる

また、民法第1016条1項には
「遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる」
と規定されています。
これは、単に手伝ってもらうのではなく、遺言執行者の職務すべてを他人に
丸投げしてお願いする「
復委任」という規定です。

復委任が規定されている理由として、
一般に遺言執行者の指定がなされる場合、相続人など必ずしも十分な法律知識を有していない場合が
想定されることも多く、適切な遺言の執行が困難なこともありうるため、遺言執行者に広く復任権を
認める必要があり、遺言執行者の復任権の行使用件を緩和しているのです。

但し、遺言書に復委任を禁じる条項(遺言者による別段の意思表示)がある場合はできません。

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