運営:行政書士平田総合法務事務所/不動産法務総研
〒651-0084 兵庫県神戸市中央区磯辺通1丁目1-20 KOWAビル4階

受付時間
定休日
9:00~19:00
日曜日(日曜日以外の祝日は通常営業)
※受付時間外・定休日は予約の方のみ対応可。
※受付時間外・定休日連絡先(090-5063-8136)
     ✉アドレス info@realestate-lawoffice.jp

お気軽にお問合せ・ご相談ください

050-6875-7980

不動産親族間売買の実務⑤税制上の不都合

親族間売買では「税制優遇措置」が使えない

不動産の親族間売買を検討する際、多くの方が
「身内同士の取引なのだから、税金面でもメリットがあるのではないか」
という期待を抱きがちです。

しかし、日本の税制は、親族間という関係性を利用した租税回避に対して非常に厳しい姿勢をとっており、親族間売買では「主要な税制上の特例が、ほぼ全て使えない」という現実があります。

「譲渡所得」に関する特例の制限

マイホーム(居住用財産)を売却した際には、通常であれば、税負担を大幅に軽減するための強力な
特例が複数用意されています。

しかし、これらは親族など「特別な関係にある者」への譲渡では、いずれも適用されません。

(1)居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除
マイホーム売却で得た利益から最大3,000万円を控除できる極めて強力な制度です。
しかし、売却先が親子・夫婦・生計を一にする親族などの場合、この控除は適用されません。
そのため、たとえ譲渡益が3,000万円以下であっても、親族間売買では利益の全額が課税対象となり、
所得税・住民税が重くのしかかります。

(2)居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
所有期間が10年を超えるマイホームを売却した場合に、譲渡所得税率を低くできる制度ですが、これも親族間売買では適用されません。3,000万円控除と軽減税率の両方が使えないため、売主側の税負担は、第三者に売却した場合よりも著しく重くなります。

(3)特定の居住用財産の買換えの特例
マイホームを買い換える際、売却益に対する課税を将来に繰り延べられる制度です。本来なら仕組みとして、売却した年に払うべき譲渡所得税を、今回買った新しい家を将来売却する時まで保留できます。しかし、親族など「特別な関係者」への譲渡では認められません 。

以上のように、親族間売買では、マイホームに関する主要な減税制度が「完全に閉ざされている」点に注意が必要です。

「譲渡損失」が発生した場合の特例の制限

不動産売却で損失(赤字)が発生した場合にも、通常は「所得税を減らすための有利な特例」が存在します。しかし、親族間売買では、これらもすべて適用除外となります。

(1)マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
買換えの際に赤字が出れば、給与所得などと相殺し、更に翌年以降に繰り越すこともできる制度です。しかし、親族間売買では認められません。

(2)特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(オーバーローン時)
住宅ローン残高が売却価格を上回る「オーバーローン」状態でも、第三者間での売却であれば損益通算が可能です。
しかし、親族間取引では、損失の操作が容易であることから、一律に適用が禁止されています。

これらが使えないため、親族間売買で「赤字になるから税金が返ってくるはず」という考えは成立しません。

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例

近年注目されている「空き家特例」も、親族間売買では適用されません。相続した実家を売却する際に
3,000万円を控除できる強い制度ですが、売却先が親族である場合は完全に対象外です。

そのため、「相続した家を兄弟に売って節税しよう」という発想は成り立ちません。

買主側の税制上の制限(住宅ローン控除・贈与税非課税)

税制上の不利益は売主側だけでなく、買主側にも及びます。

(1)住宅ローン控除の適用除外
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅取得者の金利負担を軽減する制度ですが、国税庁は
「住宅の取得は、その取得時および取得後も、引き続き生計を一にする親族や特別な関係のある者からの取得でないこと」を適用要件としています。

つまり、以下のいずれかに該当すると適用されません。
・「親子、夫婦、生計を一にする親族」から購入した場合
・取得後に売主(親族)と同居する場合
・内縁関係など事実上の親族関係
・特別な関係を有する法人からの取得

ただし、「生計を一にしていない親族」からの取得であれば、条件次第で適用される余地があります。この点は誤解されやすいため、慎重に判断する必要があります。

(2)住宅取得等資金の贈与税非課税特例
親や祖父母から家を買うための資金援助を受けた場合、一定額まで贈与税が非課税になる特例がありますが、これは「配偶者や親族など一定の特別の関係がある人」から物件を取得する場合には適用できません 。たとえば「父の家を買うために、父から資金援助を受ける」という構図は、制度の趣旨に反するため適用されないのです。

税制上の「不都合」をどう評価するか

親族間売買の税務上の不利益が大きい理由は、国の住宅税制が
「真に居住を目的とする一般市場における取引」を支援するための制度だからです。

親族間での取引は、価格操作や損失の恣意的計上が理論的に可能であり、租税回避の温床となりやすいことから、制度趣旨の観点で厳格に排除されています。

その結果、親族間売買では次のような二重の不利益が生じます。
・売主側の不利益:本来なら非課税だったはずの利益に譲渡所得税がかかる。
・買主側の不利益:毎年の住宅ローン控除という減税機会を失う。

これらを合計すると、親族間売買は第三者への通常売買よりも税務上の負担が非常に大きく、結果として、経済的に極めて非効率な選択となることもあるため、慎重に判断することが不可欠です。

 

お気軽にお問合せ・ご相談ください
(行政書士平田総合法務事務所/不動産法務総研)

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
050-6875-7980
受付時間
9:00~19:00
定休日
日曜日(日曜日以外の祝日は通常営業)
※受付時間外・日曜日は予約の方のみ対応可。
受付時間外・日曜日連絡先:090-5063-8136

最新著書のご案内

相続〝円満・不和〟が分かれる
不動産の“遺し方・手放し方”!

「相続前・後の不動産対策」に焦点を当て、終活として不動産所有者が備えるべき4つの視点から解説。
特に、負動産を生前処分する方法、そのまま相続になると必ず紛争になる相続不動産の瑕疵対策共有名義不動産の回避・解消法、遺言民事信託の活用など相続に不動産が絡むケースの終活ノウハウが満載です。

『終活を真剣に考える』シリーズ①

“負動産”生前処分するために
“唯一制度化”された出口戦略!

近年、相続の現場で深刻化している“負動産の押し付け合い”による争族の解決策として注目される「相続土地国庫帰属制度」の超実践ガイド
放置すると大変なことになる負動産の生前処分の「最終手段」として、
相続土地国庫帰属制度を利活用するための知識とノウハウを体系的にまとめた「実務に活かせる」必読書。

『終活を真剣に考える』シリーズ②

相続不動産の売却親族間・
個人間売買
よく分かる!

「相続不動産の売却、親族間売買、個人間売買」について、実務の観点から図解・イラストで解説しています。本書を読むことで、不動産取引に付きまとう「5つの不(不安・不満・不便・不都合・不経済)」が
解消します。

法改正対応!最新の改訂版!
不動産実務がみるみる身に付く

出版時点の法改正(民法、消費税法、都市緑地等の一部改正法等)の修正対応と、金利上昇局面を見据え初版に無かった住宅ローン基礎知識を解説追記した最新改定版。身の丈に合った物件価格算出法が好評。

発行部数1万部以上売れた初版
不動産取引“入門書”の決定版!

2015年7月出版の初版。不動産業界初心者向けの入門編。他書籍で誰も書かなかった不動産オークション裏側カラクリ”地主向け”・土地活用営業マンへの対峙法が好評。

必ず繁盛店シリーズの集客編!集客企画に困ったらこの1冊!

累計発行部数:12,000部以上売れた集客ノウハウ大全(共著)。SNS全盛の今でも、何度も使える集客企画ネタ帳の保存版。

「弁護士JPニュース」
弊所代表行政書士:平田の
取材記事が掲載されました。

“普通の家庭”ほど危ない!? 「実家の相続」安易な考えで数百万円損も…「うちは大丈夫」慢心が思わぬ“争いの火種”に
なるワケ

「THE GOLD ONLINE」
(幻冬舎ゴールドオンライン)
50代から着手しよう!!
「“相続トラブルのタネ・
ワケあり不動産”テキパキ
整理術」連載中!

【第1回】内縁の妻に、親から相続した4,000万円の横浜の自宅を遺したい…「事実婚夫婦」が資産承継する際の重要ポイント

【第2回】同居の長男に自宅を遺したいが、別居の長女と揉めないか不安…希望の相続を実現させる「特定財産承継遺言」の効果と注意点

【第3回】【50代再婚カップルの苦悩】2人で暮らす世田谷の家、後妻の死後〈後妻弟〉へ渡るのを阻止したい…遺言では対処できない〈資産承継の問題〉の解決策

【第4回】馬車馬のように働き人生後半で手にした「夢のマイホーム」に住まう79歳元経営者だが…いま気づいた〈子どもたちの争族リスク〉に顔面蒼白

【第5回】あなたとの不動産の共有がストレスです…姉の申し出に〈土地の持ち分〉を買い取りホクホクの50代男性、積年のマイホーム建築の夢が潰えた「考えれば当然」の事情

【第6回】本当に恐怖です…父から相続した地方の「ワケあり不動産」、やがて起こる〈共有者大増殖〉に、50代男性「いてもたってもいられない」と戦慄

【第7回】こんなお荷物、捨ててしまいたい! 亡き父が残した土地は〈過疎地・共有名義・買い手ナシ〉の三重苦…57歳長男の心の叫び

「THE GOLD ONLINE」
(幻冬舎ゴールドオンライン)

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

050-6875-7980

<受付時間>
9:00~19:00
※受付時間外・日曜日は予約の方のみ  
 対応可。祝日は通常営業。
※受付時間外・日曜日の連絡先
 090-5063-8136

フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。

新着情報・お知らせ

行政書士平田総合法務事務所/不動産法務総研

住所

〒651-0084 兵庫県神戸市中央区磯辺通1丁目1-20 KOWAビル4階

アクセス

神戸新交通ポートアイランド線
  「貿易センター」駅より徒歩   3分
阪神本線「神戸三宮」駅より徒歩   8分
JR神戸線「三ノ宮」駅より徒歩10分
阪急神戸線「神戸三宮」駅・徒歩13分
※周辺にコインパーキング多数あり

受付時間

9:00~19:00
※19時以降は予約の方のみ対応可。

定休日

日曜日
(日曜日以外の祝日は通常営業)
※定休日は予約の方のみ対応可。