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不動産割賦売買の基礎知識

目 次

不動産割賦売買とは?

不動産割賦売買とは、売買代金の全部又は一部について、売買物件の引渡し後1年以上の長期間に

わたり2回以上に分割して受領する条件で売買する、いわゆる分割払いによる契約形態をいいます。

割賦売買と一般的な住宅ローンとの違いは、住宅ローンが金融機関から買主が借り入れた資金を売主

に売買代金全額として一括で支払ったのち、買主が金融機関に長期で分割返済をするのに対して、

割賦売買は売買代金の全部又は一部を買主から売主に対して分割払いし、金融機関は介在しません。

不動産割賦売買は、どんな時に使う?

割賦売買を利用する場面は、住宅ローン以外の資金調達が必要となるような以下のケースです。

1.住宅ローン審査が通らないとき

・融資対象不動産の担保評価が低かったり、違法性があり、融資審査が下りないような

 ケースです。具体的には、融資対象が「再建築不可の不動産」である場合。

 例えば、建築基準法に定める接道要件を満たさなかったり、増築等で建ぺい率や容積率が

 超過し違法建築物になっている場合です。

 

2.買主が金融機関からの借入ができないとき

買主属性に問題があるケースです。例えば、過去に借金返済を延滞したり、自己破産などに

 より、信用情報に事故記録(いわゆるブラックリスト)があるような場合です。

 

3.親族間による不動産売買をするとき

・親子などの親族間で行う売買では、銀行などは親族間売買への住宅ローン利用に対して

 否定的です。否定的な理由は、親子間ならいずれ相続で不動産を承継することになるのに、

 「なぜ住宅ローンを利用して売買を行う必要があるのか?なぜ、いま売買するのか?」

 と銀行は考えるからです。更にいえば、銀行の本音として、

 「住宅ローンの低い金利で資金調達して、それを住宅購入以外の用途に流用するのでは?」

 と疑っているのです。そのため、多くの金融機関では、親族間売買の場合では相談段階から

 門前払いが多くなります。その結果、通常の住宅ローンではなく、

 金利が高い不動産担保ローンや条件が厳しいフラット35などを使うことになります。

不動産割賦売買のメリットは?

不動産割賦売買のメリットは、次の4つです。

1.「再建築不可」や「築年数が古い」不動産など、通常は金融機関の融資

  が利用できない不動産でも、売主は売却し易く、買主は買い易くなる。

2.「独立して間もない人、ブラックリストに載っている人、転職して3年

  以内の人」など、通常は金融機関の融資が利用できない買主でも、

  割賦売買なら購入できる。

3.「親族間の不動産売買」で、通常の住宅ローンが使えなくても、

  買主はまとまった現金を用意せず購入できる。

4.金融機関の融資とは異なり、

  買主は融資手続き保証料等の手間も費用も不要となる。

不動産割賦売買のデメリットは?

不動産割賦売買のデメリットは、以下の4つです。

1.抵当権が付いている不動産は、抵当権抹消後でないと割賦売買できない

  ※債権者(銀行等)の承諾が必要であるが、まず承諾はされない。

2.割賦金支払いが無利息では、利息相当分が「みなし贈与」なる可能性がある。

3.割賦売買契約の締結時に所有権移転をする場合、割賦期間中(分割払い中)に

  万一買主が破産すると、第三者である債権者に不動産を差し押さえられる。

4.全割賦金の支払完了後に所有権移転をする場合、割賦期間中(分割払い中)に

  万一売主が破産すると第三者である債権者に不動産を差し押さえられ、

  支払い済の割賦金も返ってこなくなる。

利用する上での注意点

所有権移転の時期は、いつにする?

不動産割賦売買において、不動産の所有権移転時期をいつにするかは、主に次の3つです。

1.割賦契約締結と同時に所有権移転登記をする。

2.割賦金全額の支払い完了時に所有権移転登記をする。

3.割賦契約において、契約締結時に手付金、その数日後に内金を支払う

  内容の契約として、内金の支払いと同時に所有権移転登記をする。

契約内容は、当事者間で決定することになりますが「3.」が多い傾向です。

割賦期間は、どの程度にする?

割賦期間は、原則自由に設定できます。短いケースで1~3年以内もあれば、5年以内を

一区切りとするケースも多く見受けられます。親族間売買では、住宅ローンのような長期で設定

する場合もありますが、当事者のいずれかに相続が発生した場合に、他の相続人が割賦金支払い

の債権債務を巡り、揉める可能性もあるため、極力短めに設定したほうが良いと思われます。

割賦払いの利息は付けるの?

割賦金の返済額を算出する際、無利息で計算する場合もありますが、世間感覚でみると割賦金に

利息を付すことが普通であるため、契約締結時点での住宅ローン金利などを参考にして、利息を

付けることが「みなし贈与」として税務署から指摘を受けることの対策となります。

割賦期間中、売主側に相続が発生したらどうなるの?

割賦金請求権が積極財産として、相続人に承継されることになります。

ただ、相続人たちが相続財産だと思っていた不動産が、知らない間に親族間売買などで一部の

相続人に売買されていた等となる場合は「その売買は無効だ!」となったり、相続自体が揉める

ことになりかねません。そうならないためにも、事前に利害のある周囲の人とは話し合いをして

おいた方が良いといえます。

もし、支払いが滞った場合のリスクヘッジは?

割賦金の支払完了後に所有権移転登記をする場合以外では、割賦期間中、常に割賦金支払い滞納

気にかけることになります。そのため、次の2つの方法でリスクヘッジを行います。

1.所有権移転登記時点での割賦残高に対して、売主を抵当権者とする

  抵当権を設定登記する。

2.不動産割賦売買契約書を公正証書とし、内容に債務名義となる

  強制執行認諾約款を入れておく。

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「不動産割賦売買」活用法とは?

親族間売買では、認知症に備えて管理処分権を移すため「親の不動産を子が買う」、資金援助や自身の相続対策として「子の不動産を親が買う」などがあります。
一方で、大半の親族間売買では住宅ローンが使えない為、親子間や兄弟間の親族間取引では、「割賦売買(分割払い)」を検討することになります。
しかし、不動産割賦売買は、通常の不動産会社では扱わないため、
 ・不動産割賦売買契約書をどう作成するか?
 ・どんな点に注意すべきか?
 ・所有権移転時期はどうする?
など疑問点も多くあります。そんな不動産割賦売買活用法について、
専門家が解説します。

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【第2回】収益アパートの所有権を
親族間売買で生前移転する!

都心部へのアクセスが良い地域に、賃貸経営が好調な賃貸アパート2棟を所有する男性(71歳)。毎月200万円以上の賃料収入があり、アパートローンも完済したことから、相続財産となる現金は膨らむ一方です。男性は税理士からも相続対策を勧められますが、自身は高齢で不動産管理にやや疲れてきたこともあり、
これ以上、不動産を増やすつもりはありません。将来は、長男に不動産管理を継いでもらい、
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考えています。認知症対策と併せて、男性の希望を叶えるためには、どのような方法があるのでしょうか?専門家が解説します。

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【第4回】「家産を他家へ流出させない」二次相続以降の承継先まで指定する民事信託活用法

還暦を前に再婚。自分亡き後、妻には経済的に困窮することなく暮らして欲しい。そして、妻亡き後は、先妻との子どもに全て相続させたい・・・。生前に何の対策もしなければ、家産は妻側の家系へ流出してしまいます。しかし、遺言では二次相続以降の承継先指定はできません。こんなとき、民事信託で「後継ぎ遺贈型・受益者連続信託」を組成することで、願いを叶えることができます。どんな信託設計をするべきなのか?配偶者居住権との違いは?

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