運営:行政書士平田総合法務事務所/不動産法務総研
〒651-0084 兵庫県神戸市中央区磯辺通1丁目1-20 KOWAビル4階

受付時間
定休日
9:00~19:00
日曜日(日曜日以外の祝日は通常営業)
※受付時間外・定休日は予約の方のみ対応可。
※受付時間外・定休日連絡先(090-5063-8136)

お気軽にお問合せ・ご相談ください

050-6875-7980

共有名義不動産の基礎知識

共有とは

「共有」とは、複数人(法人を含む)が共同して一つの所有権を持っている状態をいいます。

複数の個人や法人で共有されている物を「共有物」、共有関係にある複数の人や法人を「共有者」といいます。

そして、各共有者は共有物の全部について所有権を有していて、各共有者の有する共有物に対する所有権を

「共有持分」といいます。例えば、自動車を兄弟でお金を出し合って購入したり、パソコンを家族全員で使って

いる物は共有物といえます。このように、生活に身近な物で共有物はたくさんありますが、

中でも土地や建物といった不動産に関する共有物を「共有名義不動産」といったりします。

「共有のルール」とは

民法では、共有者間の利害等を調整しながら、共有物の有効な利用・管理を実現するために、

以下のような規律を設けています。

共有物の「変更」

共有物の変更とは、共有物の形状や効用の著しい変更を伴うもの

で、共有物の変更をする場合は、共有者全員の同意を要します。
(民法第251条)

共有物の変更となる例として、以下のようなものがあります。

 ●売買契約の解消

 ●賃貸借契約の締結(原則)

 ●土地の分筆、合筆、造成

 ●建物の建替、解体、改築、増築

 ●担保権(抵当権等)や用益権(地役権等)の設定

など

共有物の「処分」

原則として、所有者は自由にその所有物を処分する権利を有します

(民法第206条)。従って、各共有者が有する共有持分は、

それぞれ自由に処分することができます。

しかし、共有物“全体”の処分は、共有者全員の同意が無ければ

行うことができません(民法第251条)。

共有者全員の同意が必要となる、共有物の処分例として、以下のようなものがあります。

 ●土地・建物の売却(全体)

 ●土地・建物の贈与(全体)

など

共有物の「保存行為」

共有物の保存行為とは、共有物の物理的な現状を維持することを

目的として、他の共有者に不利益が及ばないようにするための行為

をいいます。そのため、各共有者がそれぞれ単独で行うことができ

保存行為をするのに、他の共有者の同意は必要ありません。
(民法第252条但書)。

共有物の保存行為となる例として、以下のようなものがあります。

●小規模な土地・建物の修繕

●法定相続による所有権移転登記

●無権利者(不法占有者等)への明渡請求

●無権利者への所有権抹消請求(詐欺取消し等)

など

共有物の「管理」

共有物の管理とは、共有物を利用したり、改良したりする行為を

いいます。共有物をどのように管理するのかを決めるためには、

共有持分の過半数を有する共有者の同意を要します。
(民法第252条本文)

共有物の管理となる例として、以下のようなものがあります。

●賃貸借契約
 (短期賃貸借期間を超えず、借地借家法の適用が無いものに限る)

●賃貸借契約の解除

●賃料の増額又は減額

●使用方法の決定 

など

なぜ、共有名義不動産が発生するのか

遺産共有

相続が発生すると、遺産は相続人間で各自の相続分に応じた割合で

一旦共有となり、これを遺産共有といいます。この共有状態は、

遺産分割協議が成立するまでの暫定的な法律関係であり、その後、

相続人間で遺産分割協議が成立し、遺産の取得者が決まると初めて

法律関係が確定します。そして、遺産分割協議の結果、不動産が

共有とされた場合、確定的な法律関係としての「共有」となり、

この共有状態を、遺産共有との対比で物権共有といいます。このように、相続人が複数いる場合、相続財産で

ある不動産は相続が発生したときに遺産共有となり、遺産分割後の共有状態については物権共有となりますが、

逆に、遺産分割協議がまとまらず長期化する場合は、この遺産共有状態での登記が継続することになります。

2024年4月施行の相続登記義務化により、一旦遺産共有の状態で相続登記をすることも増えると思われます。

「とりあえず共有」としてしまう

「とりあえず共有」とする場面は、遺産分割協議がまとまらず、

きっちり分割することを諦め、棚上げにし、問題先送りにして

しまうことで発生します。ただ、相続人間の関係性はさまざまで、

強引に分割をしてしまうと、かえって後に遺恨を残すような場合に

「あえて、とりあえず共有とする」場合もあり得ます。

人間関係を壊してしまうよりは余程ましですが、その場合でも、将来の紛争防止策として、

管理費用の負担や処分が必要になった時の取り決めなど共有の仕方は、細かく決めておいた方が無難です。

遺留分侵害による「遺留分減殺請求(旧民法)」

令和元年6月30日以前(旧民法)では、「遺留分減殺請求」が

された場合、遺産の取得行為そのものが一部無効になるという効果

があったため、遺留分を侵害された人は、不動産の共有持分等遺産

そのものの一部を取得できるのが原則でした。そのため、請求が

されると、意に反して共有名義不動産が発生することが生じていま

したが、令和元年7月1日に施行された改正民法では、

「遺留分減殺請求」は「遺留分侵害額請求」に改正され、それ以降に発生した相続での遺留分侵害については、

不動産の共有持分等の「現物」ではなく、侵害額に相当する金銭を請求できるのみとなりました。

その結果、遺留分侵害から共有名義不動産が発生する原因は無くなりました。

但し、旧民法下では、上記原因により共有関係が生じている不動産は多く存在します。

不動産(土地・建物)は、分割し難い資産である

預貯金や株式と比べて、不動産(土地・建物)は、分割し難い資産

であるため、仮に遺産の中に不動産が複数ある場合であれば、

遺産分割は比較的スムーズに進むこともありますが、一般的な家庭

では、遺産額の大半を占めるのは実家のみということが少なくあり

ません。そうなると、土地を細く分筆したり、建物現物を分割する

ことは、現実的に不可能です。また、その実家に相続人の1人が親等の被相続人と同居して介護しながら

最後を看取ったという場合、寄与分を含めた遺産分割協議は困難を極めます。

夫婦によるマイホーム共同購入

一般的に家を購入するときは住宅ローンを組むことが多いですが、

次のような理由から、夫婦のマイホーム共同購入も増えています。

・共有名義なら、高額物件にも手が届く

・共有名義なら、ローン審査も通りやすい

・共有名義なら、税金面で各種優遇が受けられる

高額な住宅の場合、1人の資金のみで購入するより、複数人で資金

を調達できれば、より条件の良いマイホームが手に入ることから、共稼ぎ夫婦がペアローンや収入合算等の住宅

ローンを組むことがよくありますが、その際、贈与としないために共有名義として購入することになります。

親子で資金を出し合い二世帯住宅を建設

親子で資金を出し合い、二世帯住宅を建設して同居するような場合
 
通常は共有名義不動産となります。また、共有の形態も土地と建物
 
それぞれを割合で共有する場合もあれば、親が持っている土地の上
 
に、子が住宅ローンを単独で組んで建物を建てる場合もあります。
 
その場合、
 
・子供が転勤となり、子供家族が住まなくなったらどうする?
 
・親に相続が発生したら、土地はどう分割する?
 
などの問題に備えておく必要があります。

相続した遺産が、共有名義不動産の共有持分だった場合

そもそも、相続した遺産が共有名義不動産の共有持分だった場合と

いうこともあります。すでに、二次相続、三次相続が繰り返されて

いて、相続人の「枝分かれ」が発生してしまっている場合です。

本来であれば、1人が複数人になる相続の前に、共有回避となる

対策ができていれば、後々の労力は軽減できます。

 

お気軽にお問合せ・ご相談ください

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
050-6875-7980
受付時間
9:00~19:00
定休日
日曜日(日曜日以外の祝日は通常営業)
※受付時間外・日曜日は予約の方のみ対応可。
※受付時間外・日曜日連絡先:090-5063-8136

著書のご紹介

法改正対応!最新の改訂版!

出版時点の法改正(民法、消費税法、都市緑地等の一部改正法)修正対応と
金利上昇局面を見据え初版に無かった住宅ローン基礎知識を解説追記。身の丈に合った物件価格算出法が好評。

発行部数1万部以上売れた初版
不動産取引“入門書”の決定版

2015年7月に出版の初版。不動産取引の入門編に加え、他書籍で誰も書かなかった不動産オークションのカラクリ地主向け・営業マン対峙法が好評。

必ず繁盛店シリーズの集客編!集客企画に困ったらこの1冊!

累計発行部数12,000部以上売れた集客ノウハウ大全(共著)。SNS全盛の今も使える集客企画ネタ帳の保存版。

「THE GOLD ONLINE」
(幻冬舎ゴールドオンライン)
新連載】「50代から始める
 終活のための不動産対策!」をテーマに執筆・連載中です!

第1回から最新回までの連載記事の
一覧は、こちらからご覧頂けます。

【第3回】自分亡き後、内縁の妻に自宅を遺すには?入籍を望まない“事実婚”夫婦のための終活

令和3年の内閣府による各種調査によると、成人人口の2~3%を占めると推察される事実婚(内縁関係)。一部判例では「婚姻に準ずる関係」として、法律婚と同等の請求権(慰謝料・財産分与など)を認めているものの、決定的に異なるのは「事実婚の配偶者に相続権はない」ということです。特別縁故者として財産の全部又は一部を受け取れる可能性はありますが、時間が掛かる上に、確実に認められるわけではありません。内縁関係の夫婦にとって、どのような生前対策を講じるべきか?

【第4回】「家産を他家へ流出させない」二次相続以降の承継先まで指定する民事信託活用法

還暦を前に再婚。自分亡き後、妻には経済的に困窮することなく暮らして欲しい。そして、妻亡き後は、先妻との子どもに全て相続させたい・・・。生前に何の対策もしなければ、家産は妻側の家系へ流出してしまいます。しかし、遺言では二次相続以降の承継先指定はできません。こんなとき、民事信託で「後継ぎ遺贈型・受益者連続信託」を組成することで、願いを叶えることができます。どんな信託設計をするべきなのか?配偶者居住権との違いは?

【第5回】収益不動産の相続後~遺産分割までの家賃収入は誰のもの?敷金返還債務はどうする

相続財産に賃貸アパート等の収益不動産が含まれる場合、実家などの相続とは異なり、第三者(賃借人)が関わるため、遺産に属する権利義務の取扱いが複雑になります。特に、遺産分割前は遺産の帰属先が決まっていないため相続開始~遺産分割完了までに生じた家賃収入の受け取り、敷金返還債務の負担を「誰が、どうするのか?」という問題が生じます。法律上の解釈は?
相続人全員の合意でできることとは?

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

050-6875-7980

<受付時間>
9:00~19:00
※受付時間外・日曜日は予約の方のみ  
 対応可。祝日は通常営業。
※受付時間外・日曜日の連絡先
 090-5063-8136

フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。

新着情報・お知らせ

行政書士平田総合法務事務所/不動産法務総研

住所

〒651-0084 兵庫県神戸市中央区磯辺通1丁目1-20 KOWAビル4階

アクセス

神戸新交通ポートアイランド線
  「貿易センター」駅より徒歩   3分
阪神本線「神戸三宮」駅より徒歩   8分
JR神戸線「三ノ宮」駅より徒歩10分
阪急神戸線「神戸三宮」駅・徒歩13分
※周辺にコインパーキング多数あり

受付時間

9:00~19:00
※19時以降は予約の方のみ対応可。

定休日

日曜日
(日曜日以外の祝日は通常営業)
※定休日は予約の方のみ対応可。