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「崖地・傾斜地」に関する承認判断の分岐点

国庫帰属申請で懸念された「崖地」の基準

北陸地方に位置する、とある山林。所有者は約18年前に親から山林を相続しましたが、遠方に
住んでいるため、使い道もなく放置していました。
しかし、2年前に所有者自身が体調を崩して入院したことをきっかけに、この土地の処分を真剣に考えるようになりました。

所有地は約90坪で、地目も現況も山林の一筆地でしたが、
土地の3分の2以上が急傾斜の北側勾配で、平地の部分はほとんどありません

そのため、売るに売れず、無償でも引き取り手がない状況でした。

そんなとき、知り合いから相続土地国庫帰属制度のことを教えてもらい、
土地を手放す最後の切り札として検討するに至ったのです。

申請にあたり、特に懸念されたのが、政令で定める崖地の勾配角度高さの基準です。
相続土地国庫帰属法施行令では、
勾配30度以上、かつ、高さ5メートル以上」の土地を危険な崖地と定めています。
ここでいう勾配とは、傾斜面が水平面に対する角度であり、高さとは、傾斜部分の上端と下端との垂直距離を指します。

また、相続土地国庫帰属法第5条第1項第1号では、施行令で定める基準の崖地のうち、
通常の管理をするのに過分な費用や労力を要するものは不承認要件に該当するとされています。

所有地は全体的に樹木が生い茂り、自然勾配のままで人工的な擁壁などの補強はありませんでした。さらに、所有地の北側にある隣地の現況は山林であるにもかかわらず、登記上の地目が「田」とされていたため、万一、所有地が北側に崩壊した場合の被害について、法務局がどのように審査し、承認可否を判断するかが気掛かりでした。

法務局の実地調査で判明したこと

しかし、法務局による実地調査では問題なしと判断されました。懸念された北側隣地への影響については、仮に隣地が地目のとおり「田」として利用していたのであれば、崖地の崩壊によって農作物に被害が及ぶことになります。

ところが、現況が周囲と同じ山林であったため、万一、崩壊があったとしても、現状を回復しなければならないような過分な管理費用がかかる土地とは判断されないとの見解でした。

急傾斜の崖地であれば、一見国庫帰属は難しいと思われがちですが、
山林で急傾斜の土地はいくらでも存在します。

相続土地国庫帰属法が山林の国庫帰属を認めている以上、申請土地が基準で定めるような
勾配角度や高さがある崖地であっても、崖下に民家や道路、線路などが存在し、
土地崩壊で甚大な被害が発生するような位置関係でなければ、
総合的な判断で国庫帰属が承認される可能性があるのです。

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