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不動産個人間売買の資金調達

<目 次>

不動産個人間売買の3要素

不動産個人間売買とは、
親族間や友人知人間など親しい関係にある者同士の不動産売買で、

すでに

①売買対象(不動産)

②取引当事者(売主と買主)

③売買条件(金額等)

以上①②③の3つ要素が決定している場合、その不動産売買に不動産業者を入れず(介在させず)に、
取引当事者だけで直接売買を完結させる不動産売買の手法です。

ある程度、不動産売買の経験がある人であれば、不動産業者を入れないことで、
通常発生する仲介手数料がゼロになるという大きなメリットがある反面、ネット情報を鵜呑みに見よう見まねで不動産売買をしてしまうと、取引上の重要な条項や合意項目が抜け落ち、将来に向けて紛争の火種を残す結果となるため注意が必要です。

不動産個人間売買と住宅ローン

不動産個人間売買を考える際、一番重要になるのが「売買代金の調達」です。通常の不動産売買では、

取引金額が大きいため、大半の人が住宅ローンを利用しますが、

個人間売買の場合では、住宅ローンが使える場合」と「使えない場合」があります。

銀行等の住宅ローンが使えなければ、クレジット会社などの不動産担保ローンもありますが、

住宅ローンと比べて金利もかなり高く、返済期間も短いため、現実的には使えません。

そうなると、売買当事者で協議のうえで、不動産割賦売買とする場合もあります。

「友人・知人間」売買の場合

友人や知人など第三者との間で直接売買をする場合は、親族などの特別な関係ではないため、

不動産評価や借手属性に問題が無い限り、金融機関の住宅ローンを普通に利用することができます

「親族間」売買の場合

親族とは、6親等内の血族、3親等内の姻族をさすため、自分自身から見た「親子間」「兄弟姉妹間」「叔父叔母間」「甥姪間」は、すべて親族間売買となります。

そして、親族間による不動産売買に対し、原則として銀行等は住宅ローンの取り扱いをしていません

親族間売買の住宅ローンが通らない理由

銀行等において、親族間売買の住宅ローンが通らない理由は、以下の通りです。

1.借り手に「投資や事業資金など別の目的に、融資したお金を使われてしまう可能性がある」ことを 

  危惧し、仮に偽装されると銀行等はそれを見抜くことが難しい上、正しく借り手を審査できない。

2.市場価格から乖離した金額で売買が行われる恐れがある。

3.相続や贈与で発生する税金の回避のための利用ではないかとの懸念がある。

4.原則不動産業者が不在のため、不動産のプロが作成した重要事項説明書が無い。

5.親子間での不動産譲渡が、贈与や相続以外の「売買という形態」が一般的ではなく、特別な理由や

  意図があることを疑われ、正当な理由があっても事実確認が難しいため、銀行側のリスク回避の

  観点から「親族間売買は断る」との一律の対応を取っている金融機関もある。

6.多くは実家であり、築年数が古く、担保評価が低い

 

尚、通常の住宅ローン以外では、カード会社等の不動産担保ローンがありますが、金利も住宅ローンと比べるとかなり高く、返済期間も短いので、利用は現実的ではありません。

親族間売買でも住宅ローンが使えるのは?

唯一、住宅ローンを使える要件を打ち出しているのが「フラット35」です。
フラット35とは、住宅金融市場における安定的な資金供給支援を目的として、
独立行政法人である住宅金融支援機構が、全国300以上の民間金融機関と提携して提供する
最長35年の全期間固定金利型の住宅ローンです。

概要(一部抜粋)は以下の通りです。
 

【申込可能な人】
申込時の年齢が満70歳未満の方(親子リレー返済利用の場合は、満70歳以上の方でも可)
・日本国籍の方、外国籍でも永住許可を受けている方、又は特別永住者の方
 

【返済期間】
借入期間は15年(申込本人又は連帯債務者が満60歳以上の場合は10年)以上最長35年が可。但し、完済時の年齢制限が80のため、借入申込時の年齢から80歳までの期間が最長の借入期間。
 

【親族間売買が使えるための要件】
以下の①~③を全て満たす必要があります。

 ①親子間、直系親族間、兄弟姉妹間であること(夫婦間の売買は除く)。

 ②売買契約を締結していること。

 ③所有権移転登記の登記原因が売買となるものであること。

但し、以下の場合は除く。

 イ)融資対象住宅に売主及び買主(申込人)が同居しているとき(現入居者間の売買)。

 ロ)融資対象住宅に売主は居住していないが申込人が売主から使用貸借しているとき。

※以上の要件を満たしても、ローンやクレジット滞納履歴ある等は審査が通らない。

※その他「フラット35」の詳細は、
​「フラット35ご利用条件(
https://www.flat35.com/loan/flat35/conditions.html)」をご参照ください。

親族間売買の売却時税金特例について

親族間売買における居住用不動産売却時の税金特例については、以下の5つは利用不可となります。

(1)3,000万円特別控除

(2)所有期間10年超の軽減税率の特例

(3)特定のマイホームを買い替えたときの特例

(4)買い替えで譲渡損失が生じたときの損益通算及び繰越控除の特例

(5)オーバーローンで譲渡損失が生じたときの損益通算及び繰越控除の特例

※以上が利用不可となることを理解した上で、親族間売買を行う必要があります。

離婚による元夫婦間売買

夫婦が離婚し、夫は家を出て、妻が子どもと夫名義の家に住み続けることはよくあります。
しかし、夫名義の家に妻と子どもが住み続けることには、何かと不安が付いて回ります。

仮に、離婚協議において、養育費や家のローンを支払い続けることを約束したとしても、夫自身の
経済状況がすっと安泰とは限りません。例えば、夫の勤務先の業績が悪化して所得が大幅に減ったり、
リストラに遭うかもしれません。

また、夫が再婚した場合、新しい家族の生活費負担も増え、従来からの養育費や元妻と子どもが住む家の住宅ローン支払いが滞ることで、ある日突然に競売通知が来て、退去を迫られるかもしれません。

そんな不安を解消するために、離婚した妻は、

・夫が払っている住宅ローンの名義を妻自身に変更できないか?
夫名義の家を妻自身の名義にできないか?

と考えます。しかし、住宅ローン名義や家の名義の変更は、
住宅ローン債権者である銀行等の承諾が必要であり、原則承諾はされません(例外規定あり)。

そうなると、妻自身が住宅ローンを組んで、夫から夫名義の家を買い取ることになりますが、
原則、現在住宅ローンを組んでいる銀行では借り換えできないことに注意する必要があります。

住宅ローン名義の種類

住宅ローン名義には、次の2つのパターンがあります。

1.単独名義
  ・1人のみが債務者となり、住宅ローンを組む場合。
  ・「夫:債務者、妻:連帯保証人」とする「連帯保証型収入合算」→債務者夫1人単独名義。
  ・夫婦いずれかが住宅ローン契約者となり、他方が連帯保証人となる。返済義務は契約者が負い、
   返済滞った場合に連帯保証人が返済責任を負う。
  ・連帯保証人には、住宅ローン控除無し、団信加入は不可。

  ※同じ物件に対し2本のローンを組む「ペアローン」も2本の単独名義ローン契約。
  ※ペアローンとは、夫婦それぞれが別々の住宅ローン契約者になるもの。
   夫婦お互いが相手の住宅ローンの連帯保証人となり、住宅は共有名義になる。

2.共同名義
  ・複数人で住宅ローンを組む場合で、夫婦や親子がそれぞれ債務者、連帯債務者になる。
   「連帯債務型収入合算」、「親子リレーローン(親子リレー返済)」がある。
  ・借入限度額や借入期間を増やせたり、各自が住宅ローン控除適用を受けられるメリットがある
   一方で、離婚時トラブルとなりやすい。
  ・夫婦いずれかが「主たる債務者」、他方が「連帯債務者」となる。
  ・返済義務は夫婦2人が負い、返済負担割合は収入等により夫婦で決定する。

ローン返済中の住宅ローン名義変更は可能か?

ローン返済中の住宅ローン名義変更は、原則不可です。また「夫婦共同名義」を、夫婦いずれか一方の「単独名義」へ変更することも同様です。理由は、夫婦の収入合算で審査及び融資が行われているため
いずれか一方のみの収入だけでは融資できないと判断されるケースが多いためです。

但し、夫婦間で名義変更が認められる場合については、以下の例外があります。

(1)離婚の場合
  →名義人の夫が家を出て、妻が住み続けるケース。夫単独名義の住宅ローンである為、
   新名義人となる妻に十分な返済能力があると金融機関に認められれば変更は可能です。

<離婚に伴う名義変更申請>
離婚協議書を作成し、金融機関に示すことがポイントとなります。
・金融機関によっては、公正証書による離婚協議書の提出が求められます。
・離婚協議書の内容は、自宅に関する財産分与状況(誰が所有権を持つか)、離婚後のローン負担者や
 方法について明記することになります。
購入した家に、名義人が住み続けることも要件です。

 

(2)名義人の経済的理由の場合
  
→住宅ローン名義人の病気やリストラ等で収入が減少し、配偶者が住宅ローンを引き継ぐケース。  
   新名義人の配偶者に十分な返済能力があれば認められる。

※住宅ローン名義変更が認められた場合、贈与(ローン債務の肩代わり)と見なされる可能性あり。

住宅ローンの連帯保証・連帯債務を外れる方法

夫名義の住宅ローンの連帯保証人や連帯債務者になっている場合で、
連帯保証人や連帯債務者を外れたい場合は、以下の進め方になります。

 

(1)支払能力がある別の連帯債務者・連帯保証人を立てる

   ・支払能力とは、ローン完済までの期間の収入がある人。
    例えば、親が娘のために新たに連帯債務者になるとしても、あと数年で定年退職となる人
    では、銀行の審査が通らない可能性が高い。

 

(2)借り換え(主債務者による)

   ・例えば、不動産が夫婦各1/2づつの共有で、妻のみが連帯債務を外れたい場合、夫の収入が安定
    していれば、夫の単独所有とした上で(持分譲渡)、夫が別銀行で新ローンを借り換えます。

 

(3)借り換え(連帯債務者・連帯保証人)

   ・例えば、離婚後も妻と子供が引き続き家に住みたい場合、妻が別の金融機関で住宅ローンを
    借り換える。但し、妻にローン審査が通るだけの支払い能力が必要です。
    妻が審査に通らない場合は、妻の親族で住宅ローンを組める人に頼んだり、別の土地や建物を
    担保に提供することで対応できる場合があります。

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【相続・事業承継】編 ~遺言・信託・親族間売買を活用した「相続前後」の不動産対策~

【第2回】収益アパートの所有権を
親族間売買で生前移転する!

都心部へのアクセスが良い地域に、賃貸経営が好調な賃貸アパート2棟を所有する男性(71歳)。毎月200万円以上の賃料収入があり、アパートローンも完済したことから、相続財産となる現金は膨らむ一方です。男性は税理士からも相続対策を勧められますが、自身は高齢で不動産管理にやや疲れてきたこともあり、
これ以上、不動産を増やすつもりはありません。将来は、長男に不動産管理を継いでもらい、
自分亡き後も、妻の世話をして欲しいと
考えています。認知症対策と併せて、男性の希望を叶えるためには、どのような方法があるのでしょうか?専門家が解説します。

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【第3回】認知症対策、終活支援としての
「不動産割賦売買」活用法とは?

親族間売買では、認知症に備えて管理処分権を移すため「親の不動産を子が買う」、資金援助や自身の相続対策として「子の不動産を親が買う」などがあります。
一方で、大半の親族間売買では住宅ローンが使えない為、親子間や兄弟間の親族間取引では、「割賦売買(分割払い)」を検討することになります。
しかし、不動産割賦売買は、通常の不動産会社では扱わないため、
 ・不動産割賦売買契約書をどう作成するか?
 ・どんな点に注意すべきか?
 ・所有権移転時期はどうする?
など疑問点も多くあります。そんな不動産割賦売買活用法について、
専門家が解説します。

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【第4回】「家産を他家へ流出させない」二次相続以降の承継先まで指定する民事信託活用法

還暦を前に再婚。自分亡き後、妻には経済的に困窮することなく暮らして欲しい。そして、妻亡き後は、先妻との子どもに全て相続させたい・・・。生前に何の対策もしなければ、家産は妻側の家系へ流出してしまいます。しかし、遺言では二次相続以降の承継先指定はできません。こんなとき、民事信託で「後継ぎ遺贈型・受益者連続信託」を組成することで、願いを叶えることができます。どんな信託設計をするべきなのか?配偶者居住権との違いは?

【第5回】収益不動産の相続後~遺産分割までの家賃収入は誰のもの?敷金返還債務はどうする

相続財産に賃貸アパート等の収益不動産が含まれる場合、実家などの相続とは異なり、第三者(賃借人)が関わるため、遺産に属する権利義務の取扱いが複雑になります。特に、遺産分割前は遺産の帰属先が決まっていないため相続開始~遺産分割完了までに生じた家賃収入の受け取り、敷金返還債務の負担を「誰が、どうするのか?」という問題が生じます。法律上の解釈は?
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