運営:行政書士平田総合法務事務所/不動産法務総研
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国庫帰属制度では、国が引き取った後に、国民の税金で将来管理することになるので、要らないからといっても
何でもかんでも引き取ってくれるわけではありません。モラルハザードの発生を防止するために、
相続土地国庫帰属法では、「引き取れない要件」を合計10項目定めています。
・申請時点で却下される(門前払いされる)却下要件5項目(法第2条第3項)
・申請後の現地調査や関係行政との協議の結果、申請不承認となる不承認要件5項目(法第5条第1項)
(1)建物がある土地
※管理コストが土地以上に高額であり、老朽化すると最終的には建替えや解体が必要となるため。
(2)担保権や使用収益権が設定されている土地
※具体的には、抵当権など(担保権)、地上権・地役権・賃借権など(使用収益権)をさす。
(3)他人の利用が予定されている土地
※土地所有者以外の者が現に使用する状況の土地。帰属後、国と使用者との調整が必要となるため。
例)・現に、道路として利用されている土地
・墓地内の土地
・境内地
・現に、水道用地として利用されている土地
・現に、用悪水路として利用されている土地
・現に、ため池として利用されている土地
(4)特定有害物質により土壌汚染されている土地
※土壌汚染対策法上の「特定有害物質」により汚染されている土地
(5)境界が明らかでない土地、所有権の存否や帰属、範囲について
争いがある土地
※境界が明らかでなく、境界を巡り、隣地所有者との争いがある土地
(1)一定の勾配・高さの崖があって、かつ、管理に過分な費用・労力が
かかる土地
※崖(勾配が30度以上、かつ、高さが5m以上)があり、管理費用や労力が過分に掛かる土地。
(2)土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
※次のア.イ.の全てに該当する場合は帰属承認ができない。
ア:工作物、車両又は樹木その他の有体物が存する
イ:その有体物が土地の通常の管理又は処分を阻害する
→上記イの考え方について、森林において樹木がある場合や、宅地において安全性に問題の無い土留めや
柵等がある場合など、その土地の形状や性質によっては、地上に有体物が存したとしても必ずしも通常
の管理又は処分を阻害するわけではない。
<想定される有体物の具体例>
・果樹園の樹木
・民家、公道、線路等の付近に存在し、放置すると倒木のおそれがある枯れた樹木や枝の落下等による
災害を防止するために定期的な伐採を行う必要がある樹木
・放置すると周辺の土地に侵入する恐れや森林の公益的機能の発揮に支障を生じる恐れがあるために、
定期的な伐採を行う必要がある竹
・過去に治山事業等で施工した工作物のうち、補修等が必要なもの
・建物には該当しない廃屋
・放置車両 など
(3)土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が
地下にある土地
<想定される有体物の具体例>
・産業廃棄物
・屋根瓦等の建築資材ガラ
・地価にある既存建物の基礎部分やコンクリート片
・古い水道管
・浄化槽
・井戸
・大きな石等
(4)隣接する土地の所有者等との訴訟によらなければ管理・処分ができない
土地
<政令で定める具体的類型>
①民法上の通行権利が妨げられている土地
→以下の(a)又は(b)に該当する土地は、民法上、その土地を囲んでいる他の土地を通行することが
認められているが、この通行が現に妨げられている土地
(a)他の土地に囲まれて公道に通じていない土地(袋地)(民210①)
(b)池沼、河川、水路、海を通らなければ行動に出ることができない土地、又は崖があって土地と
公道との著しい高低差がある土地。(民210②)
②所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地
→所有者以外の第三者により土地所有者の所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地
※その程度が軽微で土地の通常管理又は処分を阻害しないと認められるものを除く。
<想定される具体例>
・申請地に不法占拠者がいる場合
・隣地から生活排水等が定期的に流入し続けており、土地の使用に支障が生じている場合
・別荘地管理組合から国庫帰属後に管理費用を請求される等のトラブル発生の可能性が高い場合
・立木を第三者に販売する契約を締結している場合。
(5)その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地
<政令で定める具体的類型>
①災害の危険により、土地周辺の人や財産に被害を生じさせる恐れを防止する為、措置が必要な土地
→以下のア~ウの3要素全てに該当する土地
ア.土砂の崩壊、地割れ、陥没、水又は汚液の漏出その他の土地の状況に起因する災害が発生し、又は
発生する恐れがある。
イ.その災害により当該土地又はその周辺の土地に存する人の生命若しくは身体又は財産に被害が
生じ、又は生ずる恐れがある。
ウ.その被害の拡大又は発生を防止するために、当該土地の現状に変更を加える措置(軽微物を除く)
を講ずる必要がある。
<想定される具体例>
・土砂の崩壊の危険のある土地について崩壊を防ぐために保護工事を行う必要がある場合
・大きな陥没がある土地について、人の落下を防ぐためにこれを埋め立てる必要がある場合
・大量の水が漏出している土地について、排水ポンプを設置して水を排出する必要がある場合
②土地に生息する動物により、土地や土地周辺の人、農産物、樹木に被害を生じさせる土地
→以下のア~イの2要素全てに該当する土地
ア.鳥獣、病害虫その他の動物が生息する土地
イ.当該動物により、当該土地又はその周辺の土地に存する人の生命若しくは身体、農産物又は
樹木に被害が生じ、又は生ずる恐れがある土地(軽微なものを除く)
<想定される具体例>
・土地に生息するスズメバチやヒグマ等により、当該土地又はその周辺の土地に存する者の生命
若しくは身体に被害が生じ、又は生ずる恐れがある場合
※単にクマやイノシシが出る、スズメバチが巣を作りそうは具体的ではないので該当しない。
・土地に生息する病害虫により、当該土地又はその周辺の土地の農作物又は樹木に被害が生じ、
又は生ずる恐れがある場合
③適切な造林、間伐、保育が実践されておらず、国による整備が必要な森林
→以下のア~ウの3要素全てに該当する土地
ア.主に森林として利用されている土地
イ.その土地が存する市町村の区域に係る市町村森林整備計画に定められた、以下の(a)及び(b)の事項に
適合していない土地
(a)造林樹種、造林の標準的な方法その他造林に関する事項
(b)間伐を実施すべき標準的な林齢、間伐及び保育の標準的な方法その他間伐及び保育の基準
ウ.「イ」の(a)及び(b)に適合させるために、追加的に造林、間伐又は保育を実施する必要があると
認められる土地
<想定される具体例>
・間伐の実施を確認することができない人工林
・一定の生育段階に到達するまで、更新補助作業が生じる可能性がある標準伐期齢に達していない
天然林
④国庫に帰属した後、国が管理に要する費用以外の金銭債務を法令の規定に基づき負担する土地
→所有権が国庫に帰属した後に法令の規定に基づく処分により、国が通常の管理に要する費用以外の
費用に係る金銭債務を負担することが確実と認められる土地
<想定される具体例>
・土地改良事業の施行に係る地域内にある土地の所有者に対して、近い将来土地改良法第36条第1項に
基づき、金銭が賦課されることが確実と判明している土地
※土地改良事業で整備される水利施設等の建設費用、当該事業で整備された水利施設等の利用や
維持管理に係る経常的経費に充てられます。
⑤国庫に帰属したことに伴い、法令の規定に基づき、承認申請者の金銭債務を国が承継する土地
→法令の規定に基づく処分により、承認申請者が所有者として金銭債務を負担する土地であって、
所有権が国庫に帰属したことに伴い国が法令の規定により当該金銭債務を承継することとなるもの
<想定される具体例>
・土地改良法第36条第1項の規定により、組合員(土地所有者)に金銭債務が賦課されている土地
例)土地改良区に賦課金を支払っている土地
※土地改良法第42条第1項の規定により、当該金銭債務は農地の所有権を取得した者に承継される
こととなるため、国庫帰属がされた場合には、国に当該金銭債務が承継されることとなります。
※所有者が法務局の審査完了までに金銭債務を消滅させた場合は、本用件には該当しない。
逆に言えば、
これらの条件に該当しなければ国は引き取るとの解釈になります。
つまり、申請窓口となる法務局担当官に「要件に該当しないこと」を
認めてもらう必要があります。
【相続・事業承継】編 ~遺言・信託・親族間売買を活用した「相続前後」の不動産対策~
令和5年4月27日より運用が始まった相続土地国庫帰属制度。申請まで辿り着ければ承認率90%以上と高めで
ある一方、申請するまでの要件が厳しいため、
「要件が厳し過ぎて使えない」という意見もあれば、
「当初想像していたよりは使える」という意見もあり、
専門家の間でも意見が分かれています。
相続土地国庫帰属制度は、使える制度なのか?使えない制度なのか?
専門家が事例を交えて、徹底解説します。
【相続・事業承継】編 ~遺言・信託・親族間売買を活用した「相続前後」の不動産対策~
相続土地国庫帰属制度は、一定条件をクリアして申請まで辿り着ければ「承認率90%以上」という運用状況の統計が法務省より公表されていますが、申請に辿り着くには、国が引き取る条件に適合する必要があるため、
「適合していない土地」は、「適合する土地」に是正しなければなりません。
しかし、中には是正のハードルが高過ぎて、途中で申請を断念する人もいます。
高過ぎるハードルとは、どんなことなのか?専門家が事例を交えて、徹底解説します。
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出版時点の法改正(民法、消費税法、都市緑地等の一部改正法)修正対応と
金利上昇局面を見据え初版に無かった住宅ローン基礎知識を解説追記。身の丈に合った物件価格算出法が好評。
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令和3年の内閣府による各種調査によると、成人人口の2~3%を占めると推察される事実婚(内縁関係)。一部判例では「婚姻に準ずる関係」として、法律婚と同等の請求権(慰謝料・財産分与など)を認めているものの、決定的に異なるのは「事実婚の配偶者に相続権はない」ということです。特別縁故者として財産の全部又は一部を受け取れる可能性はありますが、時間が掛かる上に、確実に認められるわけではありません。内縁関係の夫婦にとって、どのような生前対策を講じるべきか?
還暦を前に再婚。自分亡き後、妻には経済的に困窮することなく暮らして欲しい。そして、妻亡き後は、先妻との子どもに全て相続させたい・・・。生前に何の対策もしなければ、家産は妻側の家系へ流出してしまいます。しかし、遺言では二次相続以降の承継先指定はできません。こんなとき、民事信託で「後継ぎ遺贈型・受益者連続信託」を組成することで、願いを叶えることができます。どんな信託設計をするべきなのか?配偶者居住権との違いは?
相続財産に賃貸アパート等の収益不動産が含まれる場合、実家などの相続とは異なり、第三者(賃借人)が関わるため、遺産に属する権利義務の取扱いが複雑になります。特に、遺産分割前は遺産の帰属先が決まっていないため相続開始~遺産分割完了までに生じた家賃収入の受け取り、敷金返還債務の負担を「誰が、どうするのか?」という問題が生じます。法律上の解釈は?
相続人全員の合意でできることとは?
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