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任務終了後の事務

遺言執行者と相続人との関係には、
委任に関する規定が準用されます(民法第1020条)。

そのため、遺言執行者の任務が終了した場合には、委任終了後の受任者と同様に、
通知、引渡し、報告などの事務を行う必要があります。

任務終了の通知

執行事務が完了し任務が終了したときは、民法第655条(委任の終了の対抗要件)の規定が準用されます。同条は、

「委任の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときで
 なければ、これをもって相手方に対抗することができない」

と定めています。

そのため、遺言執行者は任務終了の事実を相続人や受遺者等に通知する必要があります。

通知方法について法律上の定めはありませんが、後日の紛争防止の観点からは、
書面による通知が望ましく、後述する「事務報告書」と併せて送付するのが一般的です。

なお、家庭裁判所による解任の審判によって任務が終了した場合には、
その過程で相続人等が終了事実を認識することが通常です。

しかし、辞任や執行完了その他の事由によって任務が終了した場合には、
相続人等に当然に通知される仕組みはありません。

そのため、遺言執行者が自ら速やかに通知を行う必要があります。

受取物及び管理財産の引渡し

遺言執行者は、執行業務の過程で管理・保管していた相続財産や関係書類を、
本来の権利者に引き渡さなければなりません(民法第646条、民法第1012条第3項)。

具体的には、次のようなものが引渡しの対象となります。
・遺言執行の過程で受領した金銭
・預貯金通帳、証券、権利証(登記識別情報)等の重要書類
・相続人等から預かった物品
・賃貸不動産の賃料や預金利息など、執行期間中に取得した果実

新たな遺言執行者が選任されている場合にはその者へ、それ以外の場合には相続人又は受遺者へ引き渡します。

また、相続人が複数いる場合には、相続人全員が選任した代表者に対して一括して引き渡す方法がとられることもあります。

執行事務の報告

遺言執行者は、任務終了にあたり、執行業務の経過及び結果を
相続人等に報告しなければなりません(民法第645条、民法第1012条第3項)。

これは、委任を受けた者が委任者に対して行う報告義務と同様の趣旨によるものです。

実務上は、「事務報告書」を作成し、次のような事項を明らかにします。
・遺言執行の対象となった財産の内容
・預貯金の解約、証券の換価、不動産の移転登記等の執行内容
・各手続の実施日及び処理結果
・執行費用の内訳
・最終的な財産の引渡し状況

事務報告書には、必要に応じて通帳の写し、解約計算書、登記事項証明書、領収書等を添付し、執行内容と費用の使途を明確にしておくことが望まれます。

遺言執行者は、これらの報告を終えることによって、
遺言執行者としての任務を実質的に完了したことになります。

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