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遺言の内容(財産の分配、登記手続、認知など)を完全に実行し終えた場合です。
遺言執行者の任務は、遺言の内容を実現することにあるため、
その目的を達成した時点で任務は当然に終了します。
遺言の内容の全部又は一部を実行することが不可能となった場合です。
この場合、実行可能な部分について執行を完了した時点で、任務は終了するとされています。
遺言の執行不能は、次の2つに分類できます。
(1)就任時点で執行不能であった場合(原始的不能)
遺言執行者が就任を承諾した時点において、すでに遺言内容の実現が物理的又は法律的に不可能となっているケースです。
①対象物の滅失
例えば、遺言書に「特定のクラシックカーをAに遺贈する」と記載されていたにもかかわらず、
遺言者死亡後、遺言執行者が就任する前にガレージ火災が発生し、当該車両が焼失してしまった場合です。
②法律上の不能
例えば、遺言書に認知の意思表示が記載されていたものの、その子が遺言者の死亡前
(又は同時)に子を残さず死亡していた場合など、法律上の前提が欠けているケースです。
(2)就任後に執行不能となった場合(後発的不能)
遺言執行者が就任し、
執行手続を開始した後に、執行が不可能となる事情が発生したケースです。
①対象物の滅失
遺贈対象不動産について登記手続を進めていたところ、
大地震による土砂崩れによって建物及び土地が物理的に消滅してしまった場合です。
②法律上の不能
自宅不動産を友人に遺贈する旨の遺言について、遺言執行者が受遺者に遺贈の承認・放棄の意思を確認したところ、維持管理の負担等を理由として遺贈放棄の意思表示がなされた場合です。
遺言執行者の地位は一身専属的なものであるため、
遺言執行者が死亡した場合には、その地位は当然に消滅し、任務も終了します。
また、破産者は遺言執行者の欠格事由とされているため(民法第1009条)、
遺言執行者が破産手続開始決定を受けた場合も、その任務は終了します。
なお、成年被後見人又は被保佐人であることは遺言執行者の欠格事由ではありません。
そのため、後見開始又は保佐開始の審判を受けても、遺言執行者の地位には影響しません。
遺言執行者が自らの意思により、任務を辞めるケースです。もっとも、遺言執行者はいつでも
自由に辞任できるわけではありません。
辞任するためには、
「正当な事由」が必要であり、さらに家庭裁判所の許可を得なければなりません。
(1)辞任の要件
辞任には、病気療養、長期入院、遠隔地への転居その他これに類する正当な事由が必要です。
単に「やる気がなくなった」といった主観的理由では認められませんが、
遺言執行者と相続人との対立や、相続人間の深刻な紛争により、
適切な遺言執行が客観的に困難となった場合には、辞任が認められることがあります。
(2)辞任の手続
辞任を希望する場合は、管轄家庭裁判所に対し、「遺言執行者辞任許可審判申立書」を提出して申立てを行います。
家庭裁判所が審理の結果、正当な事由があると認めた場合には、辞任許可の審判がなされます。
(3)辞任後の通知
辞任許可がなされた場合であっても、遺言執行者は相続人及び受遺者に対し、辞任した旨を通知しなければなりません。
任務終了の事実を通知しなければ、執行事務の終了を相続人や受遺者に対抗できないためです。
遺言執行者の解任とは、遺言執行者が任務を怠った場合その他正当な事由がある場合に、
家庭裁判所の審判によってその地位を失わせる制度です。
民法第1019条は、
「遺言執行者がその任務を怠ったときその他正当な事由があるときは、利害関係人は、その解任を家庭裁判所に請求することができる。」と規定しています。
申立権者は、相続人、受遺者、相続債権者などの利害関係人です。
(1)職務執行停止及び職務代行者選任の保全処分
遺言執行者は、解任審判が確定するまではその地位を失わないため、原則として引き続き職務を行うことができます。
そこで家庭裁判所は、必要がある場合には、解任審判が確定するまでの間、
①遺言執行者の職務執行を停止する処分
②職務代行者を選任する処分
を命ずることができます。
(2)解任された場合の対応
家庭裁判所から解任審判を受けた場合、遺言執行者は即時抗告をすることができます。
もっとも、解任審判がなされた以上、即時抗告の有無にかかわらず、その時点で遺言執行者としての資格は失われます。
また、解任による任務終了については、
相続人及び受遺者に通知しなければ対抗することができません(民法第1020条、第655条)。
そのため、遺言執行者は、任務終了の通知を行うとともに、相続人及び受遺者に対して遅滞なく事務の経過及び結果を報告し、保管している金銭その他の財産を引き渡さなければなりません。
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