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「隣地紛争」が承認を妨げる理由と整理方法

隣地紛争がある土地は承認されない理由

相続土地国庫帰属法第5条1項4号および施行令第4条1項では、
「隣接地の所有者その他の者との争訟(紛争)によらなければ
 通常の管理または処分ができない土地」

については、国による承認を行わないと明確に定めています。土地の管理や処分の前提として、円滑な「通行・使用・収益」が確保されていることが不可欠です。

隣地とのトラブルが存在する場合、国が取得した後の管理コストが増大するため、制度の趣旨に反すると判断されます。

紛争として問題となる2つの類型

隣地紛争に該当する代表的なケースは、次の2つに大別されます。

(1)民法上の通行権利が妨げられている土地

民法第210条1項、2項では、次の土地に対して囲繞地通行権が認められています。

・他の土地に囲まれて公道に出られない土地(袋地)
・池沼、河川、水路、海を通らなければ公道に至れない土地
・崖により公道と著しい高低差がある土地

これらの土地では、周囲の土地を通行する権利が法的に認められますが、
次のような妨害がある場合には不承認となります。

・隣地所有者が通行禁止の看板を設置している。
・通行に反対する言動が継続している。
・通行許可が得られず、改善の見込みが乏しい。

通行が「現に」妨げられていることが判断基準であり、
潜在的な紛争ではなく、実際の妨害行為が必要とされています。

(2)所有権に基づく使用や収益が妨害されている土地

第三者によって、所有者の「使用・収益権」が侵害されているケースです。
具体例としては、次のような事例が典型です。

・申請地に不法占拠者が居座っている。
・隣地から生活排水が流入し、土地利用に支障が出ている。
・別荘地管理組合による管理費請求トラブルが継続懸念される。
・土地内の立木を第三者に販売する契約が残存しており、収益権が錯綜している。

こうした妨害要素がある場合、所有者として通常の管理ができないと判断され、不承認の方向になります。

法務局による調査内容

承認申請が受理されると、法務局で次の二段階の審査が行われます。

(1)書面調査:資料・契約・写真を中心に確認

法務局は、申請者が提出した以下の書面を基に状況を把握します。

・現況写真
・隣地との境界資料
・別荘地管理規約、管理費請求書
・立木販売契約、地役権関係の資料

不法占拠や排水トラブル等は、関係機関(役所・管理組合・警察等)から提供される資料により確認され、法務局が紛争性の有無を総合判断します。

(2)実地調査:通行妨害・占拠物・排水などを直接確認

現地調査では、次の点を重点的に確認します。

・公道への通行ルートに「物理的・人的な妨害」の存在
・不法占拠者の有無(車両・テント・物置等を含む)
・隣地からの排水流入や汚水の痕跡
・境界付近の工作物・通行妨害の実態
・別荘地管理の継続が不可欠な構造の有無

紛争の兆候がある場合、法務局は申請者に対して一定期間内での改善指示(妨害の除去)を出すことがあります。改善されない場合は、最終的に不承認となります。

隣地紛争を回避するための事前整理

承認申請の前に、次の点を整理しておくと承認可能性が大きく高まります。

(1)隣地との通行トラブルがないか確認

・境界や通行慣行の確認を事前に行うことが重要です。

(2)不法占拠者の排除

・不要物の撤去、警察相談、占有解除の手続きなどを行います。

(3)排水問題の有無の確認

・雨天後に土地状況を確認し、排水流入の痕跡がないかを把握します。

(4)管理組合からの費用請求の可能性を事前に精査

・別荘地では、国庫帰属後も管理費請求が続く事例があるため注意が必要です。

(5)立木などの収益権に関する契約の整理

・第三者との契約が残っていれば、事前に解約や整理が求められます。

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