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「地上工作物・残置物」が審査に与える影響

「撤去・伐採・伐根」が求められる実務判断基準

相続土地国庫帰属法第5条1項2号では、
「通常の管理または処分を阻害する工作物・車両・樹木その他の有体物」
が存在する土地は、承認できないと定められています。

つまり、
「小屋、竹林、果樹園の樹木、放置車両、老朽化した工作物」などが残ったままでは、
国庫に引き渡すことができません。

例外的に許容されるケースもありますが、
事前に法務局と確認しながら整理することが必須になります。

法が想定する「有体物」

撤去や伐採などが必要となるものとして、法務省が示す典型例は次のとおりです。

(1)樹木類

・果樹園の樹木
・倒木リスクのある「枯損木・老齢木」
・周囲に侵入する竹(竹林)

これらは維持に手間がかかり、放置すると次のような支障が生じます。

・野生動物被害
・病害虫の発生
・枝折れ、倒木による災害
・竹林の侵入による周辺土地への影響

特に竹は生育が早く、周囲に広がるため、
伐採だけでは不十分で「伐根」まで求められるのが実務上のポイントです。

(2)土地の管理や処分を阻害する構造物

・簡易な小屋(建築物に該当しないものを含む)
・廃屋(建物ではないが土地に定着しているもの)
・老朽化したブロック塀
・農地での違反転用による物理的変形(盛土やコンクリート敷など)
・過去の治山事業で施工された工作物で補修が必要なもの

これらは撤去費用が発生するだけでなく、
安全性の観点から追加工事が必要となる場合があります。

(3)放置車両や大型機械類

・乗用車、軽トラ、農機具など
・登記や所有者不明車両(実務上特に厄介)

撤去にはレッカー手配や行政手続きが必要となることが多く、
国が管理するには過大な負担となります。

 果樹園、竹林が特に厳しく扱われる理由
 

(1)果樹園の樹木

・果実が野生動物を呼び寄せやすい
・病害虫が発生しやすく、農薬散布や剪定が必要
・倒木リスクもある

国庫帰属後の管理コストが一定以上となるため、原則として「撤去・伐採」が必要です。

(2)竹林(特に厳しく扱われるケース)

竹の問題点は次のとおりです。
・生育が非常に早く、放置すると周辺土地に侵入する
・地中の地下茎が広範囲に広がる
・他の樹木の生育を妨げ、倒木の原因となる
・伐採だけでは短期間で再生する
・伐根には重機が必要で、費用が高額化しやすい

そのため実務では、「竹がある=伐根が必要」となり、作業場所に重機が入らない場合は手作業となるため、規模によって費用が数十万円〜百万円以上になることもあります。

「撤去・伐採」が必要となる判断基準

法務局は次の観点で判断します。

・放置すると周辺への被害が想定されるか
・定期的な管理が必要か
・国が管理する際に「過分な負担」となるか
・有体物が土地の利用や処分を妨げるか

「簡易な小屋」や「果樹園の樹木」などは、自治体や法務局によって判断が分かれることがあるため、申請前に法務局への照会が必須です。

法務局による調査内容

承認申請が受理されると、法務局で次の二段階の審査が行われます。

(1)書面調査(写真・資料での確認)

申請時に提出する次の資料をもとに、有体物の種類や規模を確認します。

・現況写真(地上工作物・樹木・竹林の位置がわかるもの)
・位置図、地形図
・公図、登記情報

この段階で、「撤去されていない有体物が明確に存在する」場合、
実地調査に進む前に撤去や伐採が求められることがあります。

(2)実地調査(現地での詳細確認)

現地では、法務局職員が次の項目を確認します。

・樹木、竹、小屋、放置車両の実存
・倒木リスクの有無
・工作物の老朽化状況
・竹林の有無や広がり、地下茎の状況
・土地の利用や処分を妨げるか
・周辺への危険性(道路・民家・電線との距離など)

そして、「問題が解消されていない(される見込みがない)場合」=不承認要件に該当
という判断につながります。

申請前に、「撤去が必要となる可能性がある有体物」を洗い出し、法務局に事前照会を行うことが実務上の必須手続きといえます。 

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