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「危険な崖」がある土地が不承認となる理由と実務判断基準

「危険な崖がある土地」は原則として不承認となる

相続土地国庫帰属法では、
「危険な崖を含む土地で、通常の管理に過分の費用・労力を要するもの」
は承認できないとされています。

特に、勾配の急な崖地は、崩壊リスクに応じて管理コストが大きく変動するため、
国庫が安全に維持管理できる土地のみが受け入れ対象となります。

(1)法的根拠と定義

①法的根拠

・「相続土地国庫帰属法 第5条1項1号」
・「相続土地国庫帰属法施行令 第4条1項」

この規定により、
「勾配30度以上かつ高さ5メートル以上の崖」 を有する土地のうち、
「通常の管理に過分な費用または労力を要する土地」が不承認の対象となります。

②用語の定義

・勾配(角度):上端と下端を結ぶ面の水平面に対する角度
・高さ:上端と下端の垂直距離
この二つの基準を同時に満たす場合に、法務局は「危険な崖」に該当する可能性を審査します。

(2)不承認となる理由:管理コストと近隣への被害リスク

「危険な崖がある土地」が問題となる理由は次の通りです。

①崩落による周辺への重大な影響

・住宅地への土砂流入
・道路、鉄道の寸断
・隣地への構造物被害
これらは、国の管理コストを著しく増大させます。

②擁壁工事など多額の対策費用が必要になる場合がある

・擁壁の新設
・既存擁壁の補強
・雨水排水処理設備の追加
・監視設備(崩落センサー等)の設置
このような改良工事が必要と客観的に判断されると、不承認となります。

③「急傾斜地=直ちに不承認」ではない

土地の形状が急斜面地であっても、「直ちに不承認」になるとは限りません。
たとえば、崖下の状況が、

・広い空地
・「人家・道路・公共施設」などが無い
・崩落しても第三者被害が生じない

といった場合は、崩壊リスクが限定的であるため、「管理が過重とはいえない」と判断される
ことがあります。

法務局による調査内容

承認申請が受理されると、法務局で次の二段階の審査が行われます。

(1)書面調査:写真・資料から崖の存在を確認

申請時に提出する次の資料を用いて、法務局は崖の有無を確認します。
・現況写真
・地形図
・土地利用状況図
・公図、登記記録

崖の「位置・傾斜・高さ」について、まず書面で概況を把握します。

(2)実地調査:器具を用いた測量とリスク判定

現地における実地調査では、次の確認を行います。

①レーザー距離計などを用いた測定

・高さ(5m超かどうか)
・勾配(30度超かどうか)

②周辺環境のリスク評価

・崖下に「建物・道路・鉄道」が存在するか
・大雨時に土砂流入が懸念されるか
・擁壁の有無、劣化状況
・土質や植生の安定性

③既存の対策工の効果

・既に堅牢な擁壁が設置済み
・落石防止ネット・排水工がある
・法面が十分に安定している

これらを総合的に判断し、「通常の管理に過分の費用または労力が必要か」を評価します。

「急傾斜地崩壊危険区域」との関係

「急傾斜地崩壊危険区域」とは、がけ崩れ(急傾斜地の崩壊)が発生する恐れがある場所として、土砂災害防止法に基づき、都道府県によって指定された区域のことです。

住民の生命を守るために、がけ崩れを未然に防ぐ対策が必要な場所として定められており、
国土地理院の「重ねるハザードマップ」などで確認できます。

申請地が「急傾斜地崩壊危険区域」に指定されている場合は、注意が必要です。
ただし、この区域に該当したからといって、必ずしも「不承認」とは限りません。

直ちに不承認とならない理由として、危険区域に含まれていても、

・既に十分な擁壁が施工されている
・補強済みで追加工事が不要
・隣接地への被害リスクが小さい

と判断される場合、
「通常の管理に過分の費用を要しない」となり、承認される可能性があります。地域指定による危険性の判断と同時に、現況の安全や必要な管理コストの有無も、重要な審査対象となります。 

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