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共有解消:トラブルの火種「共有名義」を
今のうちに整理する

「不動産の共有関係」が引き起こす、さまざまな問題とは

遺産の中に、不動産の共有持分が含まれている場合があります。
つまり、以前の相続で親が自分の兄弟姉妹たちと共同相続して共有名義にしたり、
最初から共有持分であったものを相続したようなケースです。

共有とは、複数人が共同して1つの物の所有権を有する状態のことをいいます。
各共有者は、共有物の全部について所有権を有していて、
各共有者が有する共有物に対する所有権を「共有持分」といいます。

共有持分は所有権なので、
各共有者は共有物全体を共有持分に応じて使用することができますし、
各自の共有持分を自由に処分することもできます

ただし、共有物全体については、
各共有者が他の共有者と同じように権利を持っていることから、各共有者が「何でも」自由に
できるわけではなく
、共有不動産があることでいろいろな問題が起こります。

たとえば、
・売却が難しくなる
・修繕費を誰が出すのか決まらない
・空き家管理の責任も曖昧
・固定資産税の負担割合で揉める
・共有者の一部が認知症になると完全に手詰まり

といったことです。特に相続後、共有者の1人が認知症になると、
遺産分割協議は不可能となり、家庭裁判所の審判や成年後見人の選任が必要になるため、
手続きが長期化することもよくあります。

このような、そのまま遺すと将来揉めることが明らかな不動産の共有は、
相続前に所有者自身によって整理(共有解消)しておくべきなのです。

「共有解消」と「共有離脱」とは

不動産の共有関係を解消するには、「共有解消」「共有離脱」の2つの方法があります。
考え方として、実務上、次のいずれかの内容になります。

・共有者全員が協力して共有物全体を処分することで、共有物を無くしてしまう
・自分の共有持分をすべて手放して、共有関係から離脱する
・他の共有者の共有持分を全部買い取って、自らの単独所有権とする

具体的には、次の5つの対応策になります。

(1)共同売却

すべての共有者が売却に合意して、共有不動産全体を売却し、売買代金を各持分で分配することで共有物は無くなり、共有関係は解消されます。売却方法として、入札形式で売却できれば取引の「透明性・納得性・経済合理性」が備わり、全員が納得して売却できます。

(2)共有持分の「買取り・売却」

共有持分について、共有者間で売買をします。
自らがすべての共有持分を買取れれば、単独所有になり、
自らの共有持分を他の共有者に売却すれば、共有関係から離脱することができます。

また、あまりお勧めしませんが、共有持分売買で共有者間での条件調整がつかず、それでも共有関係は解消したい場合、共有者以外の第三者(買取業者)に売却することも法律上は可能です。

(3)不動産の交換

条件が揃えば、不動産の交換という方法もあります。

たとえば、
自分の共有持分と、他の共有者が所有する「他の不動産」を交換したり、

逆に、
自分が所有する「他の不動産」と、他の共有者の共有持分を交換することです。

前者は、すべての共有持分を集約できるので単独所有になり、
後者は、
共有持分全てを手放すことで共有関係から離脱できることになります。

物々交換が前提となるため、
交換価格が等しくならないときは、その差額を「交換差金」として現金で清算します。

(4)贈与、放棄

共有持分の対価を求めず、単に共有関係から離脱することを優先するのであれば、
所有する共有持分の贈与や放棄をすることで、共有不動産と完全に縁を切ることもできます。

ただし、贈与は契約なので、相手側が贈与を引受けてくれることが前提となります。

たとえば、
他の共有者に対して、自分の共有持分を贈与したいと申し入れても、贈与税や不動産取得税、
登録免許税、贈与後の固定資産税の増加を理由に「いらない」といわれる可能性もあります。

もし、
贈与が難しければ、一方的に自分の共有持分を放棄し、共有関係から離脱することもできます。放棄は単独でできるため、他の共有者の同意は不要です。
そして、放棄した持分は、他の共有者に帰属する(民法第255条)ことになります。

ただし、
登記名義を変更しなければ、放棄者は固定資産税の支払い義務を免れることはできません。
その場合、登記引取請求訴訟を提起し、判決を得てから単独で登記手続きを進めます。

(5)現物分割

現物分割とは、共有状態にある不動産やその他の財産を、物理的にそのままの形で分割し、
それぞれの共有者が個別に所有する方法です。
特に土地の場合によく用いられ、一つの土地を複数に分けて(分筆)、
それぞれの共有者がその一部を単独で所有する形になります。

現物分割は、まず共有者全員での話し合い(協議)によって行われるのが基本です。
もし話し合いで合意が得られない場合は、「共有物分割訴訟」という裁判手続きで分割を求めることもできます。

 

以上の共有状態の整理は、「問題が起こる前に手当てをする」という予防的な意味で重要です。
次世代へ負担を押しつけないために、今のうちから現状の共有関係を整理し、単独名義へ計画的に進めておくことが、不動産を“負動産化”させないための確実な対策となります。

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