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遺言・遺言執行者の指定:争族を未然に防ぐ
「最強の処方箋」

相続トラブルの多くは「不動産」が原因

相続不動産の売却や親族間売買では、相続によって
「誰が不動産を引継ぐのか」が決まらなければ、次の段階に進むことができません。

そのため、遺産分割での協議停滞は誰もが避けたいところですが、
相続トラブルの多くは「不動産が原因」で発生します。

預貯金と異なり不動産は分けにくく、遺産に占める不動産の割合は高くなりがちなことから、
分割協議がまとまり難くなります。

こうした紛争を未然に防ぐ最も有効な手段が、「遺言書の作成」「遺言執行者の指定」です。特に、不動産の相続では、遺言の有無によって手続きの難易度が劇的に変わります

遺言の効果が大きいとされる理由は、次のとおりです。

・不動産は分割が困難(物理的にも心理的にも)
・共有名義になると管理・売却の手続きが煩雑
・売却、担保設定などの行為には相続人全員の同意が必要

遺言が無い場合が相続人全員の同意が必要

遺言がない場合、相続人全員の同意がなければ名義変更も売却もできません。
1人でも同意しなければ、一切前に進まないのです。

そして、
遺言がなければ相続開始後、相続人同士が「話し合いを進めざるを得ない状態」に追い込まれ、意見対立が起きやすくなります。

逆に、遺言があれば、遺言執行者のもと機械的かつ迅速に手続きを進めることができ、
不必要な摩擦を避けられることになります。

特に、不動産を誰が取得するかは相続において最大の争点となりやすいため、
特定財産承継遺言(相続させる旨の遺言)によって、明確に指定しておくことが重要です。

たとえば、
「長男が自宅を取得し、次男に金融資産で調整する」
あるいは
「収益物件を管理運営している子がそのまま承継する」

というように、被相続人の意向と家族の実情に即した分配を事前に整理しておくことが、
相続の混乱を防ぐ鍵となります。

遺留分への配慮や税務上の影響も踏まえる必要があるため、公正証書遺言を選択し、
専門家の助言を受けて内容を整えることが望ましいです。

遺言執行者がいないと「遺言が絵に描いた餅」になることも

遺言内容を確実に履行するためには、実務上「遺言執行者」の選任が不可欠です。

遺言執行者とは、遺言書に記載された故人の意思を、
その死後に具体的に実行する権利と義務を持つ人のことです。

故人は亡くなっているため、自ら遺言の内容を実現することはできません。
そのため、遺言者の代わりにその意思を実現するのが、遺言執行者の役割となります。

遺言執行者を指定しておくと、以下のメリットがあります。

・不動産の名義変更を単独で進められる
・相続人間の意見対立を回避できる
・金融機関や行政との手続きがスムーズ

遺言執行者がいない相続では、不動産の名義変更、預金解約、各種契約の解約など、
あらゆる手続きで相続人全員の署名押印が求められます。

・相続人が遠方に住んでいる
連絡が取れない
仲が悪い

といった事情がある場合は、手続きが停滞し、
結果として資産価値の毀損や管理コストの増大につながります。
遺言執行者を指定しておくことで、執行者が単独で手続きを行えるようになり、
実務は格段に円滑になります。

近年は、相続人の一部だけが先行して財産を処分したり
銀行から預金を引き出したりするトラブルも増えています。
遺言執行者が存在すれば、財産の管理・処分を一元的に行い、
相続財産の保全措置も速やかに実施
できます。

遺言執行者になれる人とは

遺言執行者には、未成年者と破産者を除けば、基本的に誰でもなることができます
特別な資格は不要です。遺言執行者になれる人の例として、

・相続人や受遺者
・法人
・専門家(弁護士や司法書士、行政書士など)

などがなることができますし、
一人だけでなく、複数人が遺言執行者に選任されることも可能です。

ただし、一部の金融機関では、
遺言執行者が法人や行政書士など士業以外の一般の人(相続人などを含む)である場合、
遺言書が公正証書遺言であっても、万一のトラブル回避のために、
預貯金の解約や名義変更の際には、相続人全員の実印が求められる場合があります。
※遺言執行者が相続人のうちに1人の場合は揉めやすいため。

不動産の承継以外のことも考慮すると、遺言執行者には、親族以外の身近な行政書士など
中立的な専門家を選任しておくことで、相続発生後の手続きがスムーズになり、
相続人間の利害対立を抑え、公平な執行が実現できるようになります。

遺言は単なる文書ではなく、
家族が円満に資産を承継し、次世代へ財産を適切に繋ぐための最強の予防策です。
相続発生後の混乱を避けるためにも、生前の段階で熟慮し、専門家とともに適切な内容を整備しておくことが、結果として家族の負担を大幅に軽減することにつながります。

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