運営:行政書士平田総合法務事務所/不動産法務総研
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相続前に行う「土地の境界確定」や「瑕疵の洗い出し」は、不動産の売却や親族間売買でトラブルを起こさないための基本的な準備にあたります。
特に、境界が確定していない土地は、相続後に隣地と揉めやすく、その結果、土地の面積が減少してしまう可能性があります。そのため、相続においては、遺産分割協議がスムーズに行われなかったり、売買では買い手が付かないことで売却が困難になり、安く叩き売るしか方法がなくなることもあります。
実務の現場では、相続前に所有者自身が主体的に境界確定を済ませておく意義は、極めて大きいと言えます。その理由は、次のようなことです。
・相続人が複数いると、境界交渉の意思決定が遅れる
・隣地所有者が親しい知人などであれば、相続前の交渉がスムーズ
・隣地所有者にも相続発生リスクがある
・隣地所有者に認知症などが発生すると交渉自体が難航する可能性が高い
境界確定のプロセスは、土地家屋調査士による現地調査から始まり、既存の測量図・地積測量図・登記事項などの資料確認を行い、隣地所有者との立会いを経て境界標を設置する流れで進みます。これによって土地の「正確な形・面積・境界」が明確になり、相続後、将来売却する際には測量のやり直しや隣地との協議が不要になります。
隣地所有者と境界に関する認識がかみ合わず、境界確定が難航する場合の対処法として、
次の2つの方法があります。
筆界特定制度とは、2006年(平成18年)1月20日から施行されました。これは、それまで土地の境界に関する争いを解決する主要な手段が訴訟しかなかった状況に対し、より迅速で費用が抑えられる行政手続きとして導入されたものです。
法務局が土地の所有者からの申請に基づき、測量図や登記記録、現地状況などを詳細に調査し、外部の専門家である筆界調査委員の意見を取り入れて、中立的かつ客観的な立場で土地の登記された筆界(公法上の境界)の位置を特定します。
筆界特定の申出から特定されるまでの期間は、土地の状況や関係者の数、資料収集の難易度などによって半年から1年程度かかるとされています。
費用は、申請手数料と測量費用が必要になります。申請手数料は法務局に支払う手数料ですが、特定対象となる土地の固定資産評価額によって変動します。
また、現地での測量が必要な場合に測量費用が発生します。
筆界特定制度の結果は、行政処分としての法的拘束力を持たないため、特定された筆界に納得できない関係者がいる場合、その結果に従わず、最終的な手段として境界確定訴訟を提起することになります。
境界確定訴訟では、判決が出るまでに数年単位(約2年程度)の期間がかかることが多く、
鑑定費用、裁判官や書記官の実地検証費用、弁護士費用など、多額の費用が必要となるのが
一般的です。
しかし、境界確定訴訟は民事訴訟の一種で、裁判所が「筆界」の位置を法的に確定する手続きであるため、確実に境界が確定することが最大のメリットといえます。
また、先述の筆界特定の結果は法的拘束力を持たないものの、裁判で争うことになった場合には、その詳細な調査結果や特定された筆界が重要な証拠として扱われます。
そのため、境界確定訴訟に先立って筆界特定制度を利用する意味とは、裁判よりも早く安価に
筆界調査を進めることができ、その後の訴訟を有利に進めるための準備としても役立ちます。
また、境界問題と同じく軽視できないのが「土地や建物の瑕疵」です。
・越境物の存在
・排水設備の欠陥
・擁壁の劣化
・アスベストの使用
・耐震性不足
・雨漏り
・白アリ被害
など、売却後にトラブルとなり得る要素を事前に把握しておくことで、売主としての責任範囲を整理できます。
特に、老朽化した空き家の場合は、売買契約の契約不適合責任を逃れるため、現況渡しでの売却が一般的ですが、買主はリスクを想定して価格を大きく下げようとします。
そのため、事前にインスペクション(建物診断)や必要最低限の修繕を行うだけでも査定が安定し、交渉がスムーズになる効果があります。
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