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遺言執行者とは、亡くなった人(被相続人)の意思を確実に実現するために、
遺言書の内容に従って、財産の名義変更や引渡しその他の遺言執行手続を行う者をいいます。
民法第1012条第1項は、遺言執行者について
「遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する」と規定しており、
遺言執行者は遺言の内容を実現する中心的な役割を担います。
かつての民法では、遺言執行者は「相続人の代理人とみなす」とされていましたが、
平成30年民法改正によりこの規定は削除されました。
これにより、遺言執行者は相続人の代理人ではなく、
遺言者の意思を実現するために独立して権限を行使する立場であることが、
より明確になりました。
(1)遺言執行者の行為の効力(民法第1015条)
遺言執行者がその権限の範囲内で行った行為は、相続人に対して直接その効力を生じます。
たとえば、遺言執行者が遺贈の履行として不動産の所有権移転登記を行った場合、
その効果は直接相続人に及び、相続人が改めて同意や承認をする必要はありません。
(2)遺言者の意思実現を目的とする独立した地位
遺言執行者は、相続人の利益のために活動する者ではありません。
あくまでも遺言者の最終意思を実現するために職務を行います。
そのため、相続人の希望や利益と遺言内容が対立する場合であっても、
遺言執行者は遺言内容に従って、職務を遂行しなければなりません。
(3)相続人による妨害行為の禁止(民法第1013条)
遺言執行者がある場合、相続人は遺言執行を妨げるべき行為をすることができません。
また、
相続人がした相続財産の処分その他遺言執行を妨げる行為は、原則として無効となります。
もっとも、取引の安全を保護するため、
善意の第三者にはその無効を対抗することができません。
遺言執行者になるために、弁護士、司法書士、行政書士などの特別な資格は必要ありません。
もっとも、民法は一定の者について遺言執行者となることを禁止しています。
(1)欠格事由(民法第1009条)
次に掲げる者は、遺言執行者になることができません。
・未成年者
・破産者
なお、欠格事由の有無は、遺言執行者として就任する時点を基準に判断されます。
そのため、遺言作成時には未成年者であっても、相続開始時までに成年に達していれば就任することができます。
反対に、遺言作成時には適格であったとしても、相続開始時に死亡している場合や破産者と
なっている場合には、遺言執行者となることはできません。
(2)選任できる者の範囲
欠格事由に該当しない限り、個人・法人のいずれも遺言執行者として指定することができます。
① 個人
配偶者、子その他の推定相続人や、遺贈を受ける受遺者も、未成年者又は破産者でない限り、
遺言執行者に就任することができます。
もっとも、家庭裁判所が遺言執行者を選任する場合には、遺産内容が複雑であるケースや、
相続人間に対立が生じているケースでは、弁護士や司法書士などの専門家が選任されることが
少なくありません。
② 法人
遺言執行者には法人を指定することもできます。
実務上は、信託銀行、弁護士法人、司法書士法人などが指定されることがあります。
遺言執行者は必ずしも1人である必要はなく、複数人を指定することもできます。
たとえば、信頼できる親族と専門家を共同の遺言執行者として指定し、
親族が相続人との連絡調整を行い、専門家が法的手続を担当するという形態も見られます。
複数の遺言執行者がいる場合、
その任務の執行に関する意思決定は、原則として過半数で決します(民法第1017条第1項)。
ただし、
相続財産の保存行為については各遺言執行者が単独で行うことができます(同条第2項)。
また、遺言者が遺言において別段の定めをした場合には、その定めが優先されます。
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