運営:行政書士平田総合法務事務所/不動産法務総研
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相続が発生した直後、真っ先に確認すべきことが「遺言書の有無」です。
遺言書の存否は、相続手続きの方向性を大きく左右し、
遺言が存在すれば、遺産分割協議を行う必要がなくなり、手続きが大幅に簡略化されます。
一方、遺言が無ければ、法定相続分に基づく協議が必須となり、相続人間の意見調整が不可欠になります。したがって、遺言書を正確に探索する作業は、相続後の初動として極めて重要です。
遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の三種類がありますが、秘密証書遺言はほとんど作成されないため、自筆証書遺言と公正証書遺言についてのみ解説します。
遺言書の探索を怠ると、相続人の判断で遺産分割を進めた後になって遺言書が発見され、
手続きが無効となる、あるいは再度の協議が必要になるなど、大きな混乱を招きます。
特に、不動産の名義変更は、遺言の内容に従ってのみ可能であるため、遺言の有無を確実に確認しないまま進めることは厳禁です。
遺言書は、故人が家族に託した最後の意思表示です。初動対応で確実に遺言書を探索し、適切な手続きを踏むことが、相続全体の流れを整え、家族の負担を減らすことになります。
遺言書で特に注意すべきは、自筆証書遺言の存在です。自筆証書遺言とは、遺言を残す本人(遺言者)が「遺言の全文、日付、氏名」をすべて手書きし、押印して作成する遺言書のことです。手軽に作成でき、費用がほとんどかかりません。
自筆証書遺言は、貸金庫、机の引き出し、仏壇など、どこに保管されているのか本人しか知らないことが多く、生前に存在を知らされていなければ、相続人が探し出すための労力は膨大になります。
手続きの停滞を避けるためにも、まずは故人の自宅や書斎、銀行の貸金庫、重要書類の保管場所を丁寧に確認することが必要です。
さらに、自筆証書遺言は2020年に「自筆証書遺言保管制度」が導入され、法務局で自筆証書遺言を保管できるようになりました。内容の改ざんや紛失のリスクがなくなり、検認手続きも不要になるメリットから、近年は利用件数が増えています。
そのため、法務局に保管された自筆証書遺言の存否、保管されている場合はその内容を確認する必要があります。
確認の方法として、保管された遺言書があるかどうかわからないときは、
「遺言書保管事実証明書」を請求し、法務局に遺言書を預けたときの保管証がある場合は、
ただちに「遺言書情報証明書」の請求をすることになります。
遺言書保管事実証明書とは、特定の遺言者(亡くなった方)の自筆証書遺言が、
法務局に保管されているかどうかの「事実(有無)」を証明する書類です。
「遺言書保管事実証明書」請求の概要は、次のとおりです。
【いつから】令和2年(2020年)7月10日に施行
【請求先】全国すべての遺言書保管所(法務局)。窓口請求(予約要)、郵送での請求も可能。
【請求できる人】遺言者が亡くなった後に、次の人が請求できます。
・遺言者の法定相続人
・遺言書に記載された受遺者(遺贈を受ける人)
・遺言書に記載された遺言執行者
・上記の方々の法定代理人(親権者や後見人など)
※任意代理人による請求は認められていません。
【必要な添付書類】
・死亡の記載がある戸籍謄本※
・住民票(請求者)※
・相続人であることを確認できる戸籍謄本(請求者)※
・請求者の本人確認情報(運転免許証など)
・郵送請求の場合は、返信用封筒(請求人の住所氏名を記載・切手貼付)
※法定相続情報一覧図の写し(請求人の住所記載あり)を提出すれば戸籍や住民票は不要。
※添付書類は原本還付が可能(窓口対応の場合のみ)。
【費用】手数料:1通あたり800円(収入印紙で納付)
【期間】
・窓口請求:書類に不備がなければその場で交付される。
・郵送請求:数日から1週間程度。
遺言書が保管されている事実があれば、具体的な遺言内容が確認できる「遺言書情報証明書」を請求します。遺言書情報証明書とは、法務局に保管されている自筆証書遺言の具体的な内容を証明する書類で、遺言者の氏名、出生年月日、住所、本籍(または国籍等)に加え、遺言書の画像データが表示されます。これにより、相続手続きにおいて家庭裁判所の検認が不要となります。
「遺言書情報証明書」請求の概要は、次のとおりです。
【請求先】全国すべての遺言書保管所(法務局)。窓口請求(予約要)、郵送での請求も可能。
【請求できる人】※遺言書保管事実証明書の請求手順と同じ。
【必要な添付書類】※遺言書保管事実証明書の請求手順と同じ。
【費用】手数料:1通あたり1,400円(収入印紙で納付)
【期間】※遺言書保管事実証明書の請求手順と同じ。
遺言書保管制度の利用が増えつつある現在、相続人としては法務局での検索を初動で行うことが、見落としを防ぐうえでも非常に重要です。
公正証書遺言の存否は、全国の公証役場で作成された遺言書の存在を調べることができる
「公正証書遺言検索システム」から確認できます。
【いつから】平成元年(1989年)1月1日以降に作成された公正証書遺言
【検索請求先】全国の公証役場
【検索請求できる人】
・遺言者が生存中の場合:遺言者本人のみ
・遺言者が死亡後の場合:法定相続人、受遺者、遺言執行者などの利害関係人、代理人
【必要な書類】
・除籍謄本(遺言者の死亡が確認できる書類)
・相続人の戸籍謄本(検索者が利害関係者であることを証する書類)
・本人確認書類(検索者が利害関係者本人であることを証する書類)
※代理人が検索申請する場合は、上記の書類に加えて「委任状、委任者の印鑑証明書、
代理人の身分証明書」が必要になります。
【費用】検索は無料。
公証役場の窓口で検索を申し込むと、システムで検索が行われ、遺言書があった場合は保管している公証役場の情報が知らされます。その後、遺言書が保管されている公証役場で、
遺言書の謄本(写し)の交付を請求することで、遺言の内容を確認できます。
謄本の交付には、「遺言書のページ数×250円×通数」の手数料がかかります。
保管している公証役場が遠方の場合は郵送での請求も可能です。
ただし、郵送による公正証書遺言謄本交付請求の場合は、検索請求時に必要な書類に加えて、「署名認証を受けた公正証書謄本交付申請書(2,500円/件)」が必要になります。
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