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不動産親族間売買に潜む5つの“不”の正体⑤不経済

「維持費の垂れ流し、税制特例の適用除外」が
 招く損失

相続不動産の売却、または親族間・個人間売買においては、意思決定の先送りや制度理解の不足によって、毎年静かに蓄積する「不経済」が存在します。

「維持費の累積」と空き家増税による「不経済」

不動産は所有しているだけでコストを消費する「負債」の一面を持っています。特に2024年以降、管理不全に対する行政の監視は非常に厳しくなっています。

(1)「管理不全空き家」指定による増税

以前は「倒壊の恐れ」がある特定空き家のみが対象でしたが、現在は管理が不十分な「管理不全空き家」に対しても、
改善勧告が出されれば、固定資産税の住宅用地特例(最大6分の1の減額)が解除されます。
これにより、実質的な税負担が大幅に跳ね上がる「不経済」が生じます。先述の「不便」と同様に、経済的にも影を落とします。

(2)「負動産化」の加速

地方の農地や山林、旧耐震基準のマンションなどは、10年間の固定資産税・管理費・草刈り代の累計が売却価格を上回る「逆ザヤ」状態に陥りやすく、早期決断の遅れが致命的な損失を招きます。 

放置による資産価値の下落という「不経済」

(1)建物の加速度的な劣化

 建物は人が住まなくなると、
・湿度管理ができない
・排水トラップが枯れる
・害獣・虫害が増加
などの理由により、3〜5年で価値が大きく下落します。

また、屋根や外壁の修繕、床や基礎の劣化といった大規模補修が必要となり、これが売却価格を圧迫します。

(2)「売り時」の逸失とインフレリスク

近年の建築資材や人件費の高騰により、解体更地渡しを求められた際の解体費用が、
数年前の1.5倍以上に高騰しています。

売却を先延ばしにするほど、「解体費用を差し引くと手残りがゼロ、あるいは持ち出しになる」という不経済が顕在化しています。

親族間取引における「税制特例の適用除外」という不経済

親族間売買では「多くの税制特例が使えない」
という不経済があります。
生計を一にする親族間や、配偶者に準ずる内縁関係、特殊な関係会社への売却では、
次のような強力な節税制度が利用できません。

(※詳細は「第6章6.5」で解説します)

・居住用財産の3,000万円特別控除(マイホーム特例)
・居住用財産の軽減税率の特例
・マイホーム買い替え時の特例
・買換えによる譲渡損失の損益通算、繰越控除
・オーバーローン時の譲渡損失の特例
・被相続人の居住用財産(空き家)に係る3,000万円控除

つまり、売却先(誰に売るか)によって、手取り額が大きく変わるということです。 同じ不動産でも、
・第三者に売れば  →  各種特例が使えて節税が可能
・親族に売れば  →  特例が使えず、税負担が大幅に増える

という状況が発生します。 

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