運営:行政書士平田総合法務事務所/不動産法務総研
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相続不動産や親族間売買における「不都合」の本質は、所有者の意思だけではどうにもならない「物件そのものが抱える物理的・法的瑕疵(欠陥)」が、取引の局面で障害になる点にあります。
相続において、安易な共有名義化は将来の「負の遺産」への直行便となります。
民法上、不動産の売却(処分行為)には共有者全員の同意が不可欠です。
相続時は円満でも、時間の経過とともに共有者の配偶者が意見したり、数次相続が発生して「面識のない従兄弟」が共有者に加わることで、一人でも反対すれば売却不能という出口のない不都合が生じます。
また、親族間での合意が取れず、一人が自身の持分だけを第三者(買取専門会社)に売却した場合、
残された親族はプロの買取業者と共有状態になります。
買取業者は、共有物分割請求訴訟などを通じて「競売」や「持分買取り」を迫る戦略を取るため、
資産の安値買い叩きや親族関係の完全崩壊を招くリスクがあります。
境界の不明瞭さは、第三者売却における「契約の不成立」だけでなく、親族間売買においても「潜在的危機」といった不都合があります。
境界確定が難航した場合、筆界特定制度や境界確定訴訟などの
手続きも用意されていますが、隣地所有者が認知症や相続未登記で不在の場合など予想外の事態が発生すると、境界確定(確定測量)が完了するまで長期間要することになります。
また、
親族間売買においても、「親族間だから現状でいいだろう」と境界を曖昧にしたまま売買を行うと、
将来その子ども世代が第三者に売却しようとした際、隣地との境界確定が成立せず、
結果的に「厄介ごとを先送りしただけ」となり、世代を越えた不都合が現実化します。
農地を相続した場合、農地の売買には農業委員会の許可が原則必須であり、
買主が「効率的に耕作できる」と認められなければ許可は降りません。
最悪の場合、「売れない・貸せない」といった負のスパイラルに陥り、「負動産化」への直行便となる不都合が深刻化します。
2020年の民法改正により、売主の責任は「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」へと強化されました。
これにより、売主が善意(知らなかった)であっても、
引き渡し後にシロアリ、土壌汚染、地中埋設物(以前の建物の基礎など)など、契約内容と違う欠陥が見つかれば、
買主は追完請求や代金減額請求、さらには契約解除を突きつけることが可能になっています。
一方で、契約不適合責任を負いたくないために買取会社へ売却する場合、リスクを転嫁する代わりに「市場価格の60〜70%」まで価格を叩かれるという、経済的な不都合を甘受せざるを得ません。
この「契約不適合責任」というリスク負担は、先述の「不安」と同様に、きわめて「不都合」な要因であるといえます。
相続不動産を売り出すと、次のようなプライバシー面の問題が生じます。
・ポータルサイトで室内写真が公開される
・近所に“売り出し中”であることが広まる
・内見者が多数訪れ、生活空間を見られる
・高齢の親が住み続けている物件では、生活状況が他人に
知られる
これらのプライバシー情報は、一度ポータルサイトに掲載されると、室内写真や間取り、価格推移が
アーカイブとしてネット上に残り続けます。
そのため、「あの家は相続で揉めている」「いくらまで値下げした」といった情報が近隣住民や親戚に可視化されることは、精神的な不都合として重くのしかかります。
親族間売買では、金融機関や専門家を介さないため
「簡単な契約書」で済ませがちです。
そのため、
「あの時こう言った」
「修繕はそっちが持つと言った」
という認識のズレが、法的な解決手段を持たない親族間では、最終的に「法廷闘争」か「絶縁」の二択へと追い込まれます。
また、親族間売買で安易な契約書を使うと、税務当局から「売買実態のない贈与」と判定される、
あるいは金融機関から「契約の真正性が疑わしい」としてされたり、
実務的な安定性を欠く不都合が顕在化します。
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