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不動産親族間売買に潜む5つの“不”の正体①不安

「将来起こるかもしれない」トラブルへの漠然と 
 した不安

適正価格が分からない「本質的な不安」

不動産価格は、一般に「一物四価」といわれてきましたが、
近年はAI査定なども加わり、実際には次のように
「一物七価」ともいえるほど指標が乱立しています。
・公示地価
・基準地価
・路線価
・固定資産税評価額
・不動産ポータルサイトのAI査定価格
・不動産会社の査定額
・実際の取引事例(実勢価格)

これらは、それぞれ算出目的が異なるため、
どの価格が自分の物件の“相場”なのか、専門家でなければ判断は極めて困難です。

また、不安を助長させているのが、次の2つの問題です。

 (1)実勢価格のブラックボックス化

特に重要な「実勢価格」は、不動産会社のみが扱えるレインズ成約情報に基づくため、
一般消費者には、ほぼブラックボックス化されています。

(2)AI査定の増加による“逆の誤認”

AI査定も普及していますが、基となるデータが多い「マンション」が主流であり、
「戸建」や「土地」など個別性が高い不動産は査定対象外となることがあります。

また、AI査定は現地を見て行うものではないので、
本来なら価格に影響する劣化や隣地境界の状況などは反映されていないにもかかわらず、
AI査定の「参考価格」に対して、誤った安心感を持ってしまうケースが増えています。

契約書を自力で作成することへの「構造的な不安」

不動産売買契約書は、ネット上で雛型が簡単に入手できますが実務では雛型で安全に処理できる取引は、ほぼ存在しません

不動産には個別事情があり、
それに応じて適切な特約を盛り込む必要があるためです。

実務では、「個別リスクの扱い」や「契約不適合責任の範囲」などについて、後々解釈で迷うことがないように特約条項を
詳細に定めます。

(1)多様な個別リスク

雨漏り、シロアリ、越境、違法増築、未登記建物、地役権、境界未確定など、現実には不動産に関連する多様なリスクが潜んでいます。

(2)契約不適合責任の範囲

2020年の民法改正により契約不適合責任が拡大され、条項記載の誤りは、後日高額な責任を負うリスクに直結します。

特に、親族間・個人間売買では、こうしたリスクの整理を当事者自身で行う必要があり、精神的負担はさらに大きくなります。 

相続手続きの複雑さ、銀行の審査姿勢の厳格化から生じる「手続き迷子の不安」

相続不動産を売却したり、親族・個人間で売買を行う場合、
多くの人が最初に直面するのが
何から手をつけるべきか分からない
という根源的な不安です。

たとえば、相続では、戸籍など必要書類を揃えつつ、
・遺言書がある ⇒ 遺言の探索、検認手続き
・遺言書がない ⇒ 遺産分割協議の成立、遺産分割協議書の
          作成

・相続人の一部に認知症 ⇒ 成年後見人の選任申立て
・相続人の一部に行方不明者 ⇒ 不在者財産管理人の選任申立て

など、手続きが数ヶ月単位で遅れることもあります。
また、
親族間売買では、資金調達が最大の難所になります。
2024年に入って住宅ローン減税の基準変更など、住宅市場全般において制度の見直しが進んだことも、金融機関の審査姿勢に影響を与えている可能性があります。そのため、親族間売買の住宅ローン審査は多くの金融機関で厳格化され、取り扱い不可と
する銀行も増えています。

結果として、割賦売買や公正証書の作成を検討せざるを得ないケースも増えています。 

税金・法務が絡むことで生じる「制度リスクの不安」

(1)“みなし贈与”リスクの誤解

親族間・個人間売買では、「みなし贈与回避」が重要なテーマになります。「市場価格の〇%であれば安全」などという情報がネットで独り歩きしていますが、実際は明確な基準は存在せず、税務上は合理的根拠の有無を総合的に判断されます。

特に注意するのは、
「市場価格と著しい乖離」
「取引の一貫性の欠如(経緯資料が無い・説明が曖昧)」
などです。

(2)譲渡所得税の誤算

相続不動産では、取得費の計算ミスや、相続税の取得費加算の期限切れなどによって、譲渡所得税が
大きく変わることもあります。

(3)法務トラブルは「見えない地雷」

接道義務違反、私道承諾、未登記建物、越境物などは専門家でも判断が難しく、対応を誤ると取引中断や価格下落の大きな原因となります。 

「適切な相談先が分からない」という不安

相続不動産の売却では、依頼先の不動産会社にはそれぞれ
得意・不得意があり、ネームバリューや広告規模だけで選ぶのは危険です。

特に、親族間・個人間売買は、仲介手数料が低く手続きも複雑なうえに、融資ハードルも高いため、積極的に扱う会社はほとんどありません。

その結果、適切な依頼先が見つからないことから、自力で進めざるを得ず、さらに不安が増幅していくという悪循環が起こります。

結局のところ、相続不動産の売却や親族間・個人間売買に付きまとう不安の正体は、
・情報格差
・制度の複雑化
・個別事情の多様化

という三つの構造的要因にあります。

専門知識がなければ、見落としや判断ミスが発生しやすく、それが将来のトラブルや過大な税負担、
親族トラブルへとつながる可能性があるため、人々は「正しく進められているのか」という不安を常に抱え続けるのです。

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