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共有名義不動産の基礎知識

共有とは

「共有」とは、複数人(法人を含む)が共同して一つの所有権を持っている状態をいいます。

複数の個人や法人で共有されている物を「共有物」、共有関係にある複数の人や法人を「共有者」といいます。

そして、各共有者は共有物の全部について所有権を有していて、各共有者の有する共有物に対する所有権を

「共有持分」といいます。例えば、自動車を兄弟でお金を出し合って購入したり、パソコンを家族全員で使って

いる物は共有物といえます。このように、生活に身近な物で共有物はたくさんありますが、

中でも土地や建物といった不動産に関する共有物を「共有名義不動産」といったりします。

「共有のルール」とは

民法では、共有者間の利害等を調整しながら、共有物の有効な利用・管理を実現するために、

以下のような規律を設けています。

共有物の「変更」

共有物の変更とは、共有物の形状や効用の著しい変更を伴うもの

で、共有物の変更をする場合は、共有者全員の同意を要します。
(民法第251条)

共有物の変更となる例として、以下のようなものがあります。

 ●売買契約の解消

 ●賃貸借契約の締結(原則)

 ●土地の分筆、合筆、造成

 ●建物の建替、解体、改築、増築

 ●担保権(抵当権等)や用益権(地役権等)の設定

共有物の「処分」

原則として、所有者は自由にその所有物を処分する権利を有します

(民法第206条)。従って、各共有者が有する共有持分は、

それぞれ自由に処分することができます。

しかし、共有物“全体”の処分は、共有者全員の同意が無ければ

行うことができません(民法第251条)。

共有者全員の同意が必要となる、共有物の処分例として、以下のようなものがあります。

 ●土地・建物の売却(全体)

 ●土地・建物の贈与(全体)

共有物の「保存行為」

共有物の保存行為とは、共有物の物理的な現状を維持することを

目的として、他の共有者に不利益が及ばないようにするための行為

をいいます。そのため、各共有者がそれぞれ単独で行うことができ

保存行為をするのに、他の共有者の同意は必要ありません。
(民法第252条但書)。

共有物の保存行為となる例として、以下のようなものがあります。

●小規模な土地・建物の修繕

●法定相続による所有権移転登記

●無権利者(不法占有者等)への明渡請求

●無権利者への所有権抹消請求(詐欺取消し等)

共有物の「管理」

共有物の管理とは、共有物を利用したり、改良したりする行為を

いいます。共有物をどのように管理するのかを決めるためには、

共有持分の過半数を有する共有者の同意を要します。
(民法第252条本文)

共有物の管理となる例として、以下のようなものがあります。

●賃貸借契約
 (短期賃貸借機関を超えず、借地借家法の適用が無いものに限る)

●賃貸借契約の解除

●賃料の増額又は減額

●使用方法の決定

なぜ、共有名義不動産が発生するのか

遺産共有

相続が発生すると、遺産は相続人間で各自の相続分に応じた割合で

一旦共有となり、これを遺産共有といいます。この共有状態は、

遺産分割協議が成立するまでの暫定的な法律関係であり、その後、

相続人間で遺産分割協議が成立し、遺産の取得者が決まると初めて

法律関係が確定します。そして、遺産分割協議の結果、不動産が

共有とされた場合、確定的な法律関係としての「共有」となり、

この共有状態を、遺産共有との対比で物権共有といいます。このように、相続人が複数いる場合、相続財産で

ある不動産は相続が発生したときに遺産共有となり、遺産分割後の共有状態については物権共有となりますが、

逆に、遺産分割協議がまとまらず長期化する場合は、この遺産共有状態での登記が継続することになります。

2024年4月施行の相続登記義務化により、一旦遺産共有の状態で相続登記をすることも増えると思われます。

「とりあえず共有」としてしまう

「とりあえず共有」とする場面は、遺産分割協議がまとまらず、

きっちり分割することを諦め、を棚上げにし、問題先送りにして

しまうことで発生します。ただ、相続人間の関係性はさまざまで、

強引に分割をしてしまうと、かえって後に遺恨を残すような場合に

「あえて、とりあえず共有とする」場合もあり得ます。

人間関係を壊してしまうよりは余程ましですが、その場合でも、将来の紛争防止策として、

管理費用の負担や処分が必要になった時の取り決めなどは、細かく決めておいた方が無難です。

遺留分侵害による「遺留分減殺請求(旧民法)」

令和元年6月30日以前(旧民法)では、「遺留分減殺請求」が

された場合、遺産の取得行為そのものが一部無効になるという効果

があったため、遺留分を侵害された人は、不動産の共有持分等遺産

そのものの一部を取得できるのが原則でした。そのため、請求が

されると、意に反して共有名義不動産が発生することが生じていま

したが、令和元年7月1日に施行された改正民法では、

「遺留分減殺請求」は「遺留分侵害額請求」に改正され、それ以降に発生した相続での遺留分侵害については、

不動産の共有持分等の「現物」ではなく、侵害額に相当する金銭を請求できるのみとなりました。

その結果、遺留分侵害から共有名義不動産が発生する原因は無くなりました。

但し、旧民法下では、上記原因により共有関係が生じている不動産は多く存在します。

不動産(土地・建物)は、分割し難い資産である

預貯金や株式と比べて、不動産(土地・建物)は、分割し難い資産

であるため、仮に遺産の中に不動産が複数ある場合であれば、

遺産分割は比較的スムーズに進むこともありますが、一般的な家庭

では、遺産額の大半を占めるのは実家のみということが少なくあり

ません。そうなると、土地を細く分筆したり、建物現物を分割する

ことは、現実的に不可能です。また、その実家に相続人の1人が

親等の被相続人と同居して介護しながら最後を看取ったという

場合、寄与分を含めた遺産分割協議は困難を極めます。

夫婦によるマイホーム共同購入

一般的に家を購入するときは住宅ローンを組むことが多いですが、

次のような理由から、夫婦のマイホーム共同購入も増えています。

・共有名義なら、高額物件にも手が届く

・共有名義なら、ローン審査も通りやすい

・共有名義なら、税金面で各種優遇が受けられる

高額な住宅の場合、1人の資金のみで購入するより、複数人で資金

を調達できれば、より条件の良いマイホームが手に入ることから、共稼ぎ夫婦がペアローンや収入合算等の住宅

ローンを組むことがよくありますが、その際、贈与としないために共有名義として購入することになります。

親子で資金を出し合い二世帯住宅を建設

親子で資金を出し合い、二世帯住宅を建設して同居するような場合
 
通常は共有名義不動産となります。また、共有の形態も土地と建物
 
それぞれを割合で共有する場合もあれば、親が持っている土地の上
 
に、子が住宅ローンを単独で組んで建物を建てる場合もあります。
 
その場合、
 
・子供が転勤となり、子供家族が住まなくなったらどうする?
 
・親に相続が発生したら、土地はどう分割する?
 
などの問題に備えておく必要があります。

相続した遺産が、共有名義不動産の共有持分だった場合

そもそも、相続した遺産が共有名義不動産の共有持分だった場合と

いうこともあります。すでに、二次相続、三次相続が繰り返されて

いて、相続人の「枝分かれ」が発生してしまっている場合です。

本来であれば、1人が複数人になる相続の前に、共有回避となる

対策ができていれば、後々の労力は軽減できます。

 

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